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岡山県 中山間地域での地域包括ケアに取り組む

岡山県 中山間地域での地域包括ケアに取り組む

 岡山県は、岡山市や倉敷市などの都市部が南部地域に広がり、北部の中心都市である津山市や新見市、高梁市の周辺には中山間地域が広がる。岡山県子ども・福祉部長寿社会課の森分則善総括参事は「医療や介護サービスを支える人材が豊富で、充実している岡山県と言われるが、地域で見れば決して一様ではない。病院・施設、地域密着型サービスの整備量や比較的専門職の充実した南部地域と、高齢化率が高く、求められるサービス内容の異なる北部地域では、それぞれの実態に合ったサービス整備を目指す必要がある」と説明する。

 老人福祉圏域別に見ると、南部2圏域の高齢者人口は2040年にかけて横ばいまたは増加傾向で推移。特に75歳以上の後期高齢者人口は30年までに2割以上増加し、40年頃までにやや減少すると推計されている。

 一方の北部3圏域では、高齢者人口はすでに20年頃にピークを迎えており、40年にかけて減少。後期高齢者人口は35年頃まで増加傾向か、横ばいで推移すると推計されている。

県北部と南部で人材・社会資源に格差

 森分氏は「24年度からの第9期支援計画に向けた検討を始める中で、すでに北部では広域型特養の整備は停止した」と、地域密着型サービスなど在宅重視の地域包括支援システムに根ざした整備を目指すという。

 ただ、課題となるのが介護や看護、リハ職などの専門職が南部に偏重し、北部に少ないこと。専門職団体を通じ、北部に不足する専門職派遣事業などもあるが、抜本的な解決策とはなっていない。森分氏は「医療法人の多い南部では訪問看護も整備され始めたが、北部では整備が必要な看護小規模多機能の見通しが立っていない。また、北部では特養に空きが出始めている。24年改定で配置要件緩和など柔軟な人材確保策を期待したい」と制度的対応に期待を寄せる。

等身大の介護職が、同世代に「介護の魅力」語りかけ

 福祉・介護人材確保は「岡山県福祉人材センターの運営」「岡山県福祉・介護人材確保対策推進協議会の運営・事業展開」の2本柱で推進している。協議会は介護福祉関係の各団体や養成校団体、介護施設団体、労働部局、教育委員会など県内関係者が一丸となって取り組む。

 具体的な方針は①入職者を増やす②離職者の再就職を促す③離職者を減らす④働きやすい職場づくり――の4つ。
たとえば、岡山県独自の認証制度「すまいる宣言」を受けた29法人386施設・事業所(22年末時点)の協力を得て、現場の若いスタッフが、介護職を目指す将来の仲間に向けて介護の仕事の魅力を伝える「team smile」を結成。各種イベント参加やポスター・冊子のモデルとして出演している。

 地域福祉・被災者支援班の作間星美総括参事は「著名人によるイメージキャラクターではなく、本当に現場で働く等身大の若い介護職が語りかけることを目指した」と説明する。

 4月からラジオ番組「萌乃のsmile radio」(岡山シティエフエム、第2土曜日)を開始。岡山県出身の現役大学生ソロアーティストで、福祉・介護魅力アンバサダーの萌乃さんをパーソナリティに、team smileメンバーも番組に参加している。
同班の名越要介副参事は「入職者を増やす県の取組については経営者の理解もいただいている。番組出演やイベント参加も業務の一環とみなし、シフト調整をして派遣を認めていただいている」と語る。

 ほかにも、無料で開催した「介護の入門的研修」には17歳~70歳の老若男女が参加した。「当初の20人定員から、30人定員に増やすなど想定以上の反響。家族介護も増える中で、介護の基本的なことを知りたい人たちが多いことが分かった」と作間氏は手ごたえを語る。

(シルバー産業新聞2023年10月10日号)

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