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「外出」が低栄養予防に 国民健康・栄養調査
厚生労働省は9月11日、「2017年度国民健康・栄養調査」の結果を公表した。17年11月に実施したもので、今回は高齢者の健康・生活習慣の状況を重点項目として新たに、筋肉量や生活の様子について把握。外出頻度が低い人ほど低栄養傾向の割合が高いとの結果が得られた。
低栄養の状態と外出傾向
また、栄養摂取量・運動量ともに多い人ほど筋肉量が多い傾向に。「栄養」「運動」「外出・参加」が健康づくりに必要であることが改めて示された。
同調査は、健康増進の総合的な推進をはかるため、身体状況や栄養摂取量、生活習慣を明らかにするものとして、毎年実施している。今年は、加齢とともに食事摂取量、運動量が低下しやすい高齢者の健康を重点化。体格や筋肉量、歯・口腔の状況、さらには生活の様子といった、健康・栄養に関連性があると考えられる項目を追加した。
65歳以上高齢者の低栄養傾向(BMI20以下)の割合は16.4%。男性12.5%、女性19.6%で、この10年間でいずれも有意な増減は見られない。80歳以上では男性17.3%、女性20.8%と、年齢が高くなるほど低栄養傾向の者は増加する(グラフ1)。
同省が「健康日本21(第二次)」に掲げた目標は22%以下。男女とも5年連続で達成しており、8月にまとめた中間評価では最も高い「改善」との評価がなされている。
同調査は、健康増進の総合的な推進をはかるため、身体状況や栄養摂取量、生活習慣を明らかにするものとして、毎年実施している。今年は、加齢とともに食事摂取量、運動量が低下しやすい高齢者の健康を重点化。体格や筋肉量、歯・口腔の状況、さらには生活の様子といった、健康・栄養に関連性があると考えられる項目を追加した。
65歳以上高齢者の低栄養傾向(BMI20以下)の割合は16.4%。男性12.5%、女性19.6%で、この10年間でいずれも有意な増減は見られない。80歳以上では男性17.3%、女性20.8%と、年齢が高くなるほど低栄養傾向の者は増加する(グラフ1)。
同省が「健康日本21(第二次)」に掲げた目標は22%以下。男女とも5年連続で達成しており、8月にまとめた中間評価では最も高い「改善」との評価がなされている。
また、今回の調査では、高齢者の生活状況の一つとして「週に1回以上の外出の有無」を聞き取り。低栄養傾向との関連性を調べた。それによると、週に1回以上の外出「あり」と回答した男性のうち低栄養傾向は11.5%にとどまるのに対し、「なし」は28.6%と15ポイント以上高い。一方、女性では外出頻度による差は見られなかった(グラフ2)。
なお、年齢階級別のBMIの目標値(50~69歳:20.0~24.9、70歳以上:21.5~24.9)を満たす人の割合は、男性65~74歳が53.6%、75歳以上50.7%といずれも5割超え。女性は65~74歳46.0%、75歳以上37.7%と4割を下回っている。
なお、年齢階級別のBMIの目標値(50~69歳:20.0~24.9、70歳以上:21.5~24.9)を満たす人の割合は、男性65~74歳が53.6%、75歳以上50.7%といずれも5割超え。女性は65~74歳46.0%、75歳以上37.7%と4割を下回っている。
たんぱく摂取・運動がカギ
サルコペニアの診断基準の一つ、骨格筋指数(四肢筋肉量(㎏)÷身長(m)の2乗)を見ると、60歳以上で低栄養でない人の平均値は男性7.8㎏/㎡、女性6.6㎏/㎡。共に年齢が高いほど減少している。一方、低栄養傾向の人では男性6.7㎏/㎡、女性6.1㎏/㎡と、男性の方が栄養状態での差が大きい(グラフ3)。
特に、男女ともたんぱく質摂取量が多く、また肉体労働時間が長いほど骨格筋指数が高い。栄養・運動の両方を取組むことが健康づくりに有効であることが示されている。なお、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量は、男女ともいずれも60歳代が全年代の中で最も高かった。たんぱく質の食品群別摂取構成は、年齢が高いほど肉類からの摂取割合が低く、魚介類からの摂取割合は高い傾向にあった。
特に、男女ともたんぱく質摂取量が多く、また肉体労働時間が長いほど骨格筋指数が高い。栄養・運動の両方を取組むことが健康づくりに有効であることが示されている。なお、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量は、男女ともいずれも60歳代が全年代の中で最も高かった。たんぱく質の食品群別摂取構成は、年齢が高いほど肉類からの摂取割合が低く、魚介類からの摂取割合は高い傾向にあった。
より低栄養に陥りやすい要介護高齢者に対しては近年、栄養と運動を一体的に提供する「リハビリテーション栄養」の考え方が浸透してきている。エネルギー不足の状態でリハビリを行うと、かえって栄養状態の悪化や体力・筋力低下を招くリスクがあるとし、運動と栄養改善を双方向で診断・ゴール設定を行うもの。専門性を共有する職種連携にもつながっている。
また、制度上でも運動・栄養状態の把握、および改善への施策が充実してきている。18年介護報酬改定では、管理栄養士の配置基準がない通所系、居住系サービス等に「栄養スクリーニング加算」を創設。BMIや体重減少率などの指標を定期的にチェックすることで、介護職にも低栄養への気づきを促すものだ。
さらに、通所系サービスでは低栄養リスクがあると判断された利用者に対しては、外部の管理栄養士と連携した栄養維持・改善も加算として認められるようになっている。報酬改定のテーマ「重度化防止」の観点から、より早期に専門職が関わるしくみを設けた。
また、制度上でも運動・栄養状態の把握、および改善への施策が充実してきている。18年介護報酬改定では、管理栄養士の配置基準がない通所系、居住系サービス等に「栄養スクリーニング加算」を創設。BMIや体重減少率などの指標を定期的にチェックすることで、介護職にも低栄養への気づきを促すものだ。
さらに、通所系サービスでは低栄養リスクがあると判断された利用者に対しては、外部の管理栄養士と連携した栄養維持・改善も加算として認められるようになっている。報酬改定のテーマ「重度化防止」の観点から、より早期に専門職が関わるしくみを設けた。
自覚薄い 歯がないと「食べられない」
栄養摂取には、口からしっかりと食べ続ける機能が重要とされている。歯の欠損など口腔内の状態が悪化すると、やわらかいものしか食べられなくなり、肉や魚と言ったたんぱく質摂取量が減る傾向にある。
年齢階級別に「何でもかんで食べることができる」者、「20本以上歯を有する」者の割合をみると、60歳代から大きく減少している(グラフ4)。ただし、前者のほうが減少が緩やか。歯がなくても「自分は問題なく食べられている」と思っている人が多いと考えられる。
また、65歳以上で「何でもかんで食べることができる」者のうち、低栄養傾向の割合は男性10.2%、女性18.0%。「できない」者の低栄養傾向の割合と比べると、女性より男性で差が大きかった。
年齢階級別に「何でもかんで食べることができる」者、「20本以上歯を有する」者の割合をみると、60歳代から大きく減少している(グラフ4)。ただし、前者のほうが減少が緩やか。歯がなくても「自分は問題なく食べられている」と思っている人が多いと考えられる。
また、65歳以上で「何でもかんで食べることができる」者のうち、低栄養傾向の割合は男性10.2%、女性18.0%。「できない」者の低栄養傾向の割合と比べると、女性より男性で差が大きかった。
(シルバー産業新聞2018年10月10日号)