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厚労省 栄養ケアに「在宅復帰」指標
厚生労働省は6月7日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大学名誉教授)で、口腔・栄養をテーマにした次期報酬改定を議論。管理栄養士の配置が手厚い施設ほど入院率低下や在宅復帰の促進がはかられている実態から、これら実績に応じた栄養ケアの評価が検討された。
管理栄養士数で復帰率に差
同省の調査では、管理栄養士の配置が「1人」と「2人以上」の介護施設を比較した場合、低栄養リスクが低いとされた利用者の割合は「1人」が40.5%に対し、「2人以上」は53.8%。逆に低栄養リスクが高い利用者の割合は「1人」13.0%、「2人以上」5.0%となっている(グラフ1)。
また「2人以上」で栄養ケア・マネジメントを実施している特養の利用者のうち、医療機関へ入院する割合は20.3%。「1人」特養より10ポイントも低い。老健の在宅復帰率についても、「2人以上」が31.2%で「1人」より10ポイント近く高い。
同省は、入院率低下や在宅復帰率向上に資する栄養ケア・マネジメントを推進する方策を論点に示した。日本医師会の鈴木邦彦常任理事は、利用者数に応じた管理栄養士の配置基準を提案。また、健康保険組合連合会の松本参考人からは「まず栄養ケアの具体的な介入内容を把握すべき。プロセス評価も重要」との指摘がなされた。
また「2人以上」で栄養ケア・マネジメントを実施している特養の利用者のうち、医療機関へ入院する割合は20.3%。「1人」特養より10ポイントも低い。老健の在宅復帰率についても、「2人以上」が31.2%で「1人」より10ポイント近く高い。
同省は、入院率低下や在宅復帰率向上に資する栄養ケア・マネジメントを推進する方策を論点に示した。日本医師会の鈴木邦彦常任理事は、利用者数に応じた管理栄養士の配置基準を提案。また、健康保険組合連合会の松本参考人からは「まず栄養ケアの具体的な介入内容を把握すべき。プロセス評価も重要」との指摘がなされた。
通所の栄養アセスメントに課題
通所介護、通所リハビリでの栄養ケアについては、管理栄養士を配置し低栄養またはそのリスクがある人へ個別の栄養管理を行う「栄養改善加算」(1回150単位)が設けられているが、算定割合はわずか3.0%となっている。
未算定の理由は「栄養改善が必要と思われる利用者がいない」が32.6%、「専門職が配置できない」が32.1%など。一方で、簡易栄養状態評価(MNA―SF)で低栄養またはそのリスクがあるとされた利用者は38.7%にのぼる。
同省はアセスメントが適切に行われていない可能性があるとし、栄養ケアの推進を論点に提示。鈴木委員は「通所で血清アルブミン値を把握するのは困難」と述べ、簡易的なチェックシートの活用や、かかりつけ医との連携を求めた。
未算定の理由は「栄養改善が必要と思われる利用者がいない」が32.6%、「専門職が配置できない」が32.1%など。一方で、簡易栄養状態評価(MNA―SF)で低栄養またはそのリスクがあるとされた利用者は38.7%にのぼる。
同省はアセスメントが適切に行われていない可能性があるとし、栄養ケアの推進を論点に提示。鈴木委員は「通所で血清アルブミン値を把握するのは困難」と述べ、簡易的なチェックシートの活用や、かかりつけ医との連携を求めた。
口腔衛生管理加算1割未満「歯科衛生士が不在」
口腔ケアに関しては、介護施設での口腔衛生管理の充実・普及に向け、歯科医師・歯科衛生士との連携が課題とされた。
現行では、介護施設が医師、または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員へ口腔ケアの助言・指導を月1回以上行った場合、「口腔衛生管理体制加算」(月30単位)を算定できる。その上で、歯科衛生士が入所者へ月4回以上の口腔ケアを実施すると「口腔衛生管理加算」(月110単位)が上乗せされる。
算定割合は「体制加算」が54.6%、「管理加算」は6.5%と1割に満たない。未算定の理由で最も多いのは「歯科衛生士がいない」(体制加算50.9%、管理加算44.6%)、続いて「算定の割に単位数が少ない」(同17.2%、15.0%)(グラフ2)。
実際、歯科衛生士を配置している施設の割合は特養4・6%、老健10.8%、療養病床7.4%といずれも低い。日本介護福祉士会の及川ゆりこ副会長は「歯科衛生士、言語聴覚士の専従に対する加算を設けてはどうか」と体制への報酬評価を提案した。
また、運営基準上は努力義務とされている「協力歯科医療機関の指定」については、特養の88.9%、老健の98.2%が「指定あり」と回答しており、「それなのに加算算定はなぜ低いのか。加算を通じて口腔ケアのスキルアップをはかっていくべきだ」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会常務理事)との意見があがった。
別の調査では、介護職員による日常的な口腔ケアのみを行った場合、肺炎の発症率が25.0%だったのに対し、歯科衛生士等による口腔ケア・マネジメントと週1回の口腔ケアを行った場合、発症率は3.6%と低く、専門職介入の効果が表れている。
現行では、介護施設が医師、または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員へ口腔ケアの助言・指導を月1回以上行った場合、「口腔衛生管理体制加算」(月30単位)を算定できる。その上で、歯科衛生士が入所者へ月4回以上の口腔ケアを実施すると「口腔衛生管理加算」(月110単位)が上乗せされる。
算定割合は「体制加算」が54.6%、「管理加算」は6.5%と1割に満たない。未算定の理由で最も多いのは「歯科衛生士がいない」(体制加算50.9%、管理加算44.6%)、続いて「算定の割に単位数が少ない」(同17.2%、15.0%)(グラフ2)。
実際、歯科衛生士を配置している施設の割合は特養4・6%、老健10.8%、療養病床7.4%といずれも低い。日本介護福祉士会の及川ゆりこ副会長は「歯科衛生士、言語聴覚士の専従に対する加算を設けてはどうか」と体制への報酬評価を提案した。
また、運営基準上は努力義務とされている「協力歯科医療機関の指定」については、特養の88.9%、老健の98.2%が「指定あり」と回答しており、「それなのに加算算定はなぜ低いのか。加算を通じて口腔ケアのスキルアップをはかっていくべきだ」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会常務理事)との意見があがった。
別の調査では、介護職員による日常的な口腔ケアのみを行った場合、肺炎の発症率が25.0%だったのに対し、歯科衛生士等による口腔ケア・マネジメントと週1回の口腔ケアを行った場合、発症率は3.6%と低く、専門職介入の効果が表れている。
(シルバー産業新聞2017年7月10日号)