ニュース

東京都 看取りの住まい整備へ補助金

東京都 看取りの住まい整備へ補助金

 東京都は2016年度、「暮らしの場における看取り支援事業」の一環として、看取り期まで対応する小規模な住まいの整備・運営費に対する補助を行う。ホームホスピスのように、少人数が家庭的な雰囲気で生活する場を想定。空き家など既存建築物の活用も含む。 

 「看取り支援事業」は在宅・施設の暮らしの場における看取りについて、①本人・家族を含めた関係者の理解促進②専門知識の提供③環境整備に対する支援――を行い、看取りに取組む事業所をハード・ソフト両面で支援するもの。今年度予算は約4500万円、来年度は9400万円を要求している。

 このうち、小規模な住まいの整備は③の環境整備に対する支援に該当。今年度の補助額は整備費1件につき1000万円で2カ所の整備を予定。また、運営費は利用者1人あたり月2万4000円を補助し、1カ所あたりの上限を12万円とする。今年中に補助要綱を策定し年明けに申請受付を開始。3月までに交付決定を行う。

 人員・設備・運営等の要件は全国ホームホスピス協会が策定した「ホームホスピス基準」、また介護保険制度の看取り加算の算定要件などに準拠。基本要件は▽外部の医療・介護事業所と連携し、入居から看取りまでを継続的に支援する▽入居において年齢や要介護度、家族の有無、疾病や障がいに関する制限を設けない▽看取りに関する指針を定めPDCAサイクルを実施する――などを位置付けた。

 人員基準は、介護保険サービスを提供する職員以外で常時1人以上の職員を配置。開かれた運営の確保へ、地域からボランティアの受け入れも行うこととしている。

 また、設備基準は①定員9人以下(5人以下が望ましい)②居室は原則個室。床面積は収納設備を除き7.43㎡以上③消防設備の設置等または建築基準法等に関し行政指導を受けている場合、改善計画を策定――の3点。運営基準は▽24時間対応可能な在宅医等との間で協定を締結▽診療所や訪問看護と連携し、職員へ看取り介護の研修を実施▽権利金の受領や入居金の初期償却を行わない――などとしている。

 このほか「望ましい基準」として▽排泄の自立や経口摂取継続への取組みを行う▽地域への啓発活動を行い、看取り介護の相談拠点としての機能を有する――などを挙げている。

看取り基礎研修 年明けから

 看取り支援事業の②専門知識の提供については、看取りの担い手拡大を目的とし、医師または多職種向けの研修をスタートさせる。看取り実績がない、または少ない人が対象。在宅・施設での看取りの考え方や専門職に求められる役割について、基礎的な内容を講義・グループワークで学ぶ。

 医師向け研修は17年度より3年間、計600人を対象に行う。現在研修テキスト案を作成中。また、多職種向け研修は来年1~3月に実施。約1000人を対象とし▽人生の最終段階における意思決定支援▽老衰死の基本プロセス▽緩和ケアや家族へのメンタルケアなど、苦しむ人への援助における課題と対応▽看取り期のケアの具体的な手順――を習得する。

 これら基礎編の次のステップとして、17年度からは在宅と施設に分けた「実践編」研修も開始する。3年間で全市区町村に実施する予定だ。多職種がチームを組んで参加し、質の高い看取りを行う上で直面する課題へ、医療・介護連携による対応方法など実践的な内を展開していく。
(シルバー産業新聞2016年12月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル