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これからの介護保険251 技能実習制度廃止へ

これからの介護保険251 技能実習制度廃止へ

 政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(座長=田中明彦・国際協力機構理事長)は5月11日に中間報告書を取りまとめ、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の共同議長である法務大臣に提出した。現行の技能実習制度を廃止して、人材確保と人材育成を目的とした新たな制度の創設を検討することなどが見直しの柱。今後、中間報告書で示した内容をもとに具体的な制度設計を議論し、秋頃を目途に最終報告をとりまとめる。

 中間報告書では、基本的な考え方として、「現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討する」と明記。現行の技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献が目的だが、実際は人手を確保する手段になっており、目的と実態がかけ離れ、トラブルも多かったのが見直しの背景だ。

 新制度の目的が、技能の移転から人材確保に切り替わるのを受けて、従来は原則、不可能だった転籍制限も緩和される方向になった。緩和される範囲などは、最終報告のとりまとめに向けて議論されるが、外国人保護の観点から、人権侵害や法違反などがあった場合に権利行使をしやすくする仕組みや、転籍先を速やかに確保する方策なども検討される。劣悪な労働環境の事業者には、今後、外国人が集まらない仕組みの構築を目指す。

 一方、介護分野などが対象になっている特定技能制度については、「引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き検討」と、こちらは制度を存続させる方向。委員からは新制度との一本化を求める意見も強い。

 今後の議論では、受け入れ人数のあり方や、外国人の支援体制のあり方なども含め、国際的な理解が得られる制度の構築を目指していく。

 技能実習生は、昨年6月末時点で32万7689人(うち介護は1万5011人)。受入人数の多い国は、①ベトナム(55.5%)②インドネシア(12.0%)③中国(11.0%)――など。

 1993年に国際貢献を目的に創設された技能実習制度は、少子高齢化の波を受け、大きな転換期を迎えようとしている。
(シルバー産業新聞2023年6月10日号)

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