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【アンケート】ケアマネの処遇改善「必要」86%

 本紙ケアマネジャーアンケートは、ケアマネジャーの処遇改善を主テーマに今年2〜3月に実施、331件の回答があり、関心の高さを伺わせた。「ケアマネジャーの処遇改善」は必要86%、必要ない12%、「ケアプラン有料化による処遇改善」は賛成28%、反対66%、「有料化は継続審議に」は評価できる83%、評価できない16%だった。回答は賛否で分かれた形だが、回答の記述の多くは、ケアマネジャーの業務の内容に比べて報酬の少なさを訴えた。

 2019年12月27日の介護保険部会「介護保険制度見直し意見」で、ケアマネジャーの処遇改善と事務負担軽減、多職種連携に対する介護報酬上の対応、インフォーマルサービスを盛り込んだケアプランの推進が記述された。ケアマネジャーの処遇改善と事務負担軽減が、介護保険制度の改正論議の俎上にのったのは極めて珍しい。本紙ケアマネジャーアンケートは、ケアマネジャーの処遇改善を主テーマに今年2〜3月に実施、331件の回答があり、関心の高さを伺わせた。「ケアマネジャーの処遇改善」は必要86%、必要ない12%、「ケアプラン有料化による処遇改善」は賛成28%、反対66%、「有料化は継続審議に」は評価できる83%、評価できない16%だった。回答は賛否で分かれた形だが、回答の記述の多くは、ケアマネジャーの業務の内容に比べて報酬の少なさを訴えた。

 ケアマネジャーを取り巻く国の潮流が変わった。ケアマネジャーの処遇改善やケアマネジメントに関する介護報酬上の対応が、21年4月改正の介護保険部会の見直し意見の2カ所で明記された。

 具体的には、社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所長)19年12月27日の「介護保険制度の見直しに関する意見」の「3.ケアマネジメント」中で、「ケアマネジャーの処遇改善等を通じた質の高いケアマネジャーの安定的な確保や、事務負担軽減等を通じたケアマネジャーが力を発揮できる環境整備を図ることが必要である」と、「医療をはじめ、多分野の専門職の知見に基づくケアマネジメントが行われることが必要。そのために、地域ケア会議の積極的な活用などケアマネジャーが専門家と相談しやすい環境の整備が重要。介護報酬上の対応についても検討が必要である」と記述された。

 続けて、「高齢者が地域とのつながりを保ちながら生活を継続していくためには、医療や介護に加え、インフォーマルサービスも含めた多様な生活支援が包括的に提供されることが重要であり、インフォーマルサービスも盛り込まれたケアプランの作成を推進していくことが必要」との記載がされている。

 これが実現すると、2000年の制度創設以来続いてきた、介護保険サービスを組み入れなければ居宅介護支援費が算定できない現状が見直しされることになる。

 ケアマネジャーの処遇改善に関する今回のケアマネアンケートには、331件の回答があった。自由記述に寄せられた言葉は、ケアマネジャーが置かれてきた制度上の位置づけに、堰を切ったように、改善の言葉がつづられた。

 岡山県のケアマネジャー(女性)は、「介護保険制度の要として、かなり厳しい研修を課されてきました。社会的地位の低さにいつも納得できずにいます。報酬の少なさも納得できません。優秀な人材が失望し、元職に戻って行くのを何人も見て来ました。やりがいのある仕事職とは思いますが、今後の状況しだいでは、ケアマネジャーは減っていき、やがて消えてしまうのではないでしょうか。もしケアプラン有料化になれば、ケアマネジャーの立場をますます追い込むことにつながると思います。処遇改善は国の手で行うべきです。ご利用者様の負担で賄うなんて、よい方法とは思えません」と訴えている。

 実際、ケアマネジャーのなり手は減り、2年連続してケアマネ試験の受験者数、合格者数は減少した。やりがいがあっても、処遇が改善されず責任ばかりが重く、多忙を極めるケアマネジャーの夢は開かないのが現実だ。

 こうした一方で、処遇改善にあたりケアマネジャーのさらに奮起を促す意見もある。 「ケアマネにもレベル差があるのに一律に(処遇改善が)つくとなると納得できないかもしれない。利用者様にも(ケアマネジャーを)選ぶ権利はある。有料化になれば、ケアマネも自身のスキルアップを図らなくてはと自覚するのでは」という岡山県のケアマネジャー(女性)の声もあった。

 具体的なケアマネジャーの処遇改善策や、地域ケア会議の出席やインフォーマルサービスのケアプラン作成がどのような介護報酬設定になるのかは、3月にスタートした介護給付費分科会での今後の議論を待つことになる。
(シルバー産業新聞2020年4月10日号)

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