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新型コロナ 医療・介護で集団感染相次ぐ

新型コロナ 医療・介護で集団感染相次ぐ

 感染未発生の事業所でも利用控えや新規受入れの中断など、高齢者を多く抱える介護現場では休業等も踏まえた安全確保に追われている。感染拡大防止へ感染者・場所の早期情報開示を訴える声も出ている。

 病院や介護事業所での新型コロナウイルス感染が後を絶たない。3月6日に判明した名古屋市緑区、南区の通所介護での計11人の感染や、兵庫・伊丹市の老健「グリーンアルス」、東京・台東区の永寿総合病院では集団感染(クラスター)が発生(表)。

名古屋市休業要請利用者数2割に

 名古屋市は南東部の通所介護で利用者計11人が新型コロナウイルスに感染したことを受け、緑区・南区の126事業所(通所介護55、認知症デイ8、地域密着型デイ63)へ3月6日~20日の2週間の休業要請を行った。

 6日には「原則休業だがやむを得ない場合はこの限りでない」とする旨、また居宅訪問等により可能な限りサービスを担保すること、ケアマネジャーと連携し代替サービス提供に努めること、利用者家族に丁寧な説明を行うことの留意点を示している。

 休業要請を受けた126事業所の利用者数は9日時点で470人。総定員の17%にまで減少した。16日には485人と微増。休業時の代替サービスは安否確認40事業所、機能訓練20事業所などで、代替サービス実施におけるケアマネジャーとの連携は11事業所だった。同区のケアマネ団体は「突然の休業要請で、代替サービスの確保は極めて困難だった」と話す。

 要請を受けて休業した場合、都道府県等と相談または利用者等の意向を確認した上で、訪問等に切替える等のサービス提供で相応の介護報酬が算定できる。感染拡大防止目的で自主的に休業した場合も同様。また、これらは一時的な対応となるため、ケアプラン変更やサービス担当者会議の開催は必要ない。

 緑区・南区で700人の利用者を抱える居宅介護支援事業所は「ケアプラン変更がない分、各デイの対応状況の把握が追い付いていない。ただ、感覚的には6割ほどの事業所が稼働し、入浴のみの提供や、独居・認知症の利用者に限定した受入れなどを行っている」と説明する。

 モニタリングは電話等での対応が中心。職員には在宅勤務や時差出勤を推奨するが、「介護事業所からの連絡はFAXが多い。誰かは出勤している状況」とペーパーレス化が進まないことの問題点に直面しているという。

感染場所 共有されないリスク

 同市は19日に、21日以降の休業要請は行わない旨を連絡。河村たかし市長は23日の定例記者会見で、今回の休業要請に謝意を示し休業補償の全額実施を表明した。また、感染場所(事業所名)の公表については「人権を守る観点から、慎重であるべき」としている。

 感染が発生すると、自治体は事業者側の同意を得た場合にのみ事業所名を公表している。現場のケアマネジャー等からは「せめて地域内で感染場所を把握しておかなければ、知らずに訪問して感染リスクを高めてしまう」と情報開示を求める声も上がっている。

 名古屋市名東区の介護事業者連絡会は、加盟事業所で感染者が出た場合に▽利用した事業所・施設名▽受入れ中止など事業所側の対応――などを共有する方針を示している。感染者の個人情報は含まれない。

未感染地域でも利用控え

 全国的な感染拡大を受け、クラスターが発生していない地域でも利用控え、サービス制限が出始めている。社会福祉法人奉優会(東京都世田谷区)は、本人・家族の意向で5人が全サービスの利用を一旦中止。「訪問も拒否されており、現状提供するサービスがない状態」と担当者。ケアプラン料も含め月10万円の減収になると話す。

 また、東京都あきる野市の社会福祉法人では、デイ登録者100人中5人が3月中の利用控えを判断。訪問等への切替えによるサービス提供は現時点で行っていない。一方、周辺施設のショートステイ休業や新規受入れ拒否の結果として、通所の回数が増えた利用者もいるという。

 「他事業所との話題に上がるのは、仮に休業要請を受けた場合にどうするかということ。非常に悩ましい」と同法人担当者。「利用者のことを考えると全面休業は難しい。当法人は配食サービスもあり、これらをどう上手く活用するか。事業所間で人材をカバーし合うような、地域での協力体制も必要だろう」と述べる。

 神奈川県鎌倉市で単独居宅を運営するケアマネジャーは、入浴を一番の課題に挙げ「デイの代替サービスで、訪問入浴介護を新たに利用している人も出てきた」と述べる。「心配なのは、認知症の進行と下肢筋力低下による歩行機能の衰え。長引けば家族介護者も疲弊してしまう」。

(シルバー産業新聞2020年4月10号)

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