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市町村のおむつ給付 2024年3月まで延長

市町村のおむつ給付 2024年3月まで延長

 厚労省は11月9日、地域支援事業の任意事業として実施されてきた、おむつなど介護用品の支給事業について2024年3月末まで延長することを事務連絡した。

「任意事業」外れ 3年間猶予

 向こう3年間は、任意事業としての事業継続が認められたことで、1号被保険者(65歳以上)の介護保険料を財源とする、地域支援事業の「市町村特別給付」「保健福祉事業」や、市町村独自財源による制度の変更への切り替えの必要がなくなった。その上で、この取扱を例外的な激変緩和措置として、市町村に対して、今後も事業の廃止・縮小に向けた方策を検討するよう求めている。

 任意事業は、地域支援事業のひとつで、税と1号保険料を財源しており、国(38.5%)、都道府県(19.25%)、市町村(19.25%)、1号被保険者保険料(23%)で負担する。地域支援事業の「市町村特別給付」や「保健福祉事業」に変わると、財源が1号被保険者保険料100%になり、その市町村の保険料をストレートに引き上げることになる。
 市町村の独自財源に変わる場合も含めて、おむつ支給事業が任意事業の対象外となる今回の問題は、国と県の負担分を、1号被保険者の保険料、あるいは市町村の独自財源に肩代わりさせる問題といえる。
 
 厚労省は15~17年度の第6期介護保険事業において、地域支援事業の任意事業として位置づけてきた介護用品支給事業を、14年度時点で実施している場合に限り、当分の間延長することを認めた。さらに18年度に原則として介護用品支給事業を任意事業の対象外としつつ、「低所得世帯等への影響を考慮しつつ、任意事業としての事業の廃止・縮小に向けた具体的な方策を検討する」等を実施要件とし、延長を認めてきた経緯がある。

新規利用者 「排尿」「排便」が「介助」「見守り」に限定 本人課税は対象外に

 今回の事務連絡では、以下の要件を示した。

(1) 対象市町村を14年度に当事業を実施している市町村で、第7期介護保険事業計画期間中に当事業を実施している市町村に限る。

(2) 対象期間は第8期介護保険事業計画期間(21年4月1日~24年3月31日)。

(3) 対象者は、本人課税(第6~9段階)の新規・既存利用者は対象外とし、本人非課税・世帯員課税(第4~5段階)の新規・既存利用者は年間6万円の支給上限を設ける。

(4) 新規利用者は、高齢者の個別の状態を踏まえて必要な者に支給すること。具体的には、
 ①要介護認定(要支援)における認定調査で「排尿」又は「排便」の項目が「介助」又は「見守り等」に該当する者。例外的取扱として、認定調査の「ズボン等の着脱」等の項目の「特記事項」を踏まえて、別途必要性が認められる者も対象とする。
 ②要介護認定を受けていない者からの申請や、介護用品の支給申請時点において要介護認定時の状態から変化しており認定調査票では必要性が確認できない場合については、市町村職員は認定調査と同様の方法で必要性を確認する。ケアマネジャーや地域包括支援センター職員に確認を依頼することも可能とする。

 ただし、要介護4以上は①②の方法によらずとも差し支えない。

 おむつ支給事業は、介護保険以前から行われており、低所得者向けの市町村の家族支援事業として位置づけられてきた経緯がある。介護保険後も、要介護4、5相当の在宅高齢者を介護する家族に対して、介護用品(紙おむつ、尿取りパッド、使い捨て手袋、清拭剤、ドライシャンプーなど)を支給する事業となった。これが、06年4月の地域支援事業創設時に、おむつ支給事業が任意事業とされた(市町村によって給付条件や内容は異なる)。

 介護保険施設でのおむつ利用が介護保険の給付対象とされる中で、特養は要介護3、4、5が原則利用になった現在、在宅の要介護者にとって、市町村のおむつ支給事業は在宅介護を支える大切な仕組みとして機能してきている。

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