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売れ筋で見る介護食トレンド④水分補給食

売れ筋で見る介護食トレンド④水分補給食

 8月号より①やわらか食②とろみ調整剤③濃厚流動食④水分補給――の4つのカテゴリで売れ筋動向、注目商品を紹介してきた。データ提供は介護用品販売卸のウェルファン、ケアマックスコーポレーション、豊通オールライフの3社。最終回の今号では水分補給食を紹介する。

中重度者向けのゼリータイプ主流

 高齢者は加齢とともに皮膚等の感覚が鈍くなり、喉の渇きに気づきにくくなるため、脱水の自覚症状が薄い。皮膚や口腔内の乾燥、起立・歩行時のふらつき、発熱、便秘などが見られたら脱水リスクを疑う必要が出てくる。

 これからの冬場、熱中症リスクが高い夏に比べると脱水が見落とされがちだが、実は▽乾燥しやすい▽ウイルス感染性の胃腸炎にかかると下痢や嘔吐などで体内の水分を奪う▽寒くてトイレへ行くのが億劫となり、水を飲みたがらなくなる――等が原因で脱水を引き起こす可能性は十分ある。

 脱水予防への対応は水分補給が基本だが、特に中重度者で嚥下機能に問題がある場合、通常の飲料での補給は難しい。メーカー各社は飲み込みやすいゼリータイプを中心に、甘みなどの味をつけ、飽きさせない工夫も凝らしている。

 ランキングを見ると、上位製品の傾向が販社ごとに大きく異なる。ウェルファンはハウス食品「お水のゼリー」が4割のシェア。なめらかな喉ごしが特徴でユニバーサルデザインフード(UDF)の「かまなくてよい」に該当する。食物繊維が120g中24gと豊富で、味は4種類。ビタミンA・Cが豊富で、昔懐かしい「プラッシー」味のゼリー飲料も発売している。

 ケアマックスコーポレーションは名糖産業「ウォーターメイト」がトップ。500mlあたり約30円と在宅でも安価で利用しやすい点が、ニーズを根強く支える。粉末タイプで水に溶かして使用し、とろみ等はついていない。スポーツドリンク風味、アップル風味の2種類。

 また、2年前から新たにランクインしたのはクリニコの「リハたいむゼリー」。自立支援・重度化防止へ栄養と運動の一体的なケアが求められる中、「運動後に効率良く栄養補給」をコンセプトに、リハビリ・機能訓練の現場での活用が広がっている。必須アミノ酸の35~40%を占め、筋肉の代謝を高めるBCAAが最大の特長だ。

 豊通オールライフは、一般市場でも圧倒的な知名度を誇る大塚製薬の経口補水液「OS‐1」シリーズが5割近くを占める。 経口補水液は、脱水状態で不足する電解質(ナトリウムなどの塩分)を補うため、一般的なスポーツドリンクよりも電解質濃度が高い。OS‐1は100g中のナトリウムが115mg。主に軽・中程度の脱水症状の人の利用を対象としている。また、水と電解質の吸収を速めるため糖濃度を抑え、糖質制限がある人でも利用しやすい。

 2位にランクインしたニュートリー「アイソトニックゼリー」は、かたさ・べたつき・まとまりの3つの指標で飲み込みやすさを徹底した水分補給ゼリー。特別用途食品(えん下困難者用食品)の認可を受けている。

(シルバー産業新聞2020年11月10日号)

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