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ケアマネ試験受験者激減「納得」84% ケアマネアンケート 

ケアマネ試験受験者激減「納得」84% ケアマネアンケート 

 介護支援専門員実務研修受講試験の受験者、合格者がともに激減している――。現場で働くケアマネジャーは、この事態をどのように受け止めているのか。本紙がアンケートを実施したところ、ケアマネ試験の受験者が激減していることについて「納得できる」と答えたケアマネジャーが84%に達することが分かった。減少理由として現場のケアマネジャーが挙げているのは、介護報酬上で処遇改善が受けられない状況と、ケアマネジャーに対する社会的な評価の低さだ。

処遇改善なく、給与面での魅力が低下

 2018年10月14日に実施された「第21回介護支援専門員実務研修受講試験」の受験者数は、前回の13万1560人から6割以上減少した4万9312人。合格者数も4990人と、過去もっとも低かった1万6281人を大きく下回る結果となった。

 受験者数が減少した主な要因と見られているのが、受験要件の厳格化だ。前回までは法定資格がなくても、10年以上の介護実務経験(初任者研修修了者などは5年以上)があればケアマネ試験を受験できたが、今回から「法定資格保有者」と「相談援助業務従事者」に限定し、実務経験ルートだった「介護等業務」を受験資格から外す見直しが行われている。

 こうした状況について、本紙が現場で働くケアマネジャーにアンケートを実施したところ、84%ものケアマネジャーが、ケアマネ試験の受験者が激減している状況を「納得できる」と回答した。

 その理由を自由記述で尋ねたところ、「処遇改善加算により、介護職とケアマネジャーとの間の給与に差がなくなってきており、金銭的魅力がなくなった」(宮城県、男性)、「調整役として業務や責任など負担が大きいが、他の職種と報酬が変わらない」(千葉県、女性)、「ケアマネに求められている業務に対する報酬の低さで、ケアマネを目指す人が少なくなっている」(北海道、女性)など、介護職に対する処遇改善が進む中、ケアマネジャーの給与面での魅力が相対的に低くなってきている点を指摘する意見が多かった。

 19年10月には、消費税増税分を財源に、勤続年数10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善策が実施される予定になっており、給与面でのケアマネ離れに拍車がかかる可能性がありそうだ。

 給与面での魅力の低下以外でも、「ケアマネの必要性が、全体として低くなる傾向にある。再検討が必要と思う」(茨城県、女性)、「社会的地位が低く、賃金も安い」(千葉県、女性)、「ケアマネ業務が激務で、より専門性が求められる中、厳しい研修を受けているにもかかわらず、ケアマネの必要性が認められていない」(千葉県、女性)など、ケアマネジャーに対する社会的な評価の低さが、受験者数の減少を招いているとする意見も目立った。

 このほか「ケアマネの研修時間も長くなり、忙しい中、時間を作って研修に参加するのが大変」(千葉県、男性)、「主任ケアマネの資格を持っていないと管理者になれないような改定をされ、評価が低いとなれば、受験者は減少しても仕方がない」(茨城県、女性)など、研修時間の増加や管理者要件の見直しなど、ケアマネジャーの質の向上に向けた制度改定によって、ケアマネを敬遠する動きが出ている可能性を指摘する意見もあった。

 アンケートでは、受験者数が減少した要因と見られる「受験要件の厳格化」について、「評価できる」が51%、「評価できない」が42%と評価が分かれる形となった。現場感覚としては、受験者数が減少している要因は、「受験要件の厳格化」ではなく、介護報酬上で処遇改善が受けられない状況と、ケアマネジャーに対する社会的な評価の低さに、根本的な原因があるとする感覚なのだろう。

 ケアマネジャーが実際に果たしている役割が適切に評価され、他の介護職と同様に、処遇面での改善が行われなければ、ケアマネジャーを志す人材の減少は、この先も続くことになりそうだ。

(シルバー産業新聞2019年1月10日号)

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