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日本海ヘルスケアネット 13法人で医療連携推進法人

日本海ヘルスケアネット 13法人で医療連携推進法人

 日本海ヘルスケアネットは2018年に設立した地域医療連携推進法人。現在は13法人が参加する。医療法人や社会福祉法人のほか、地区歯科医師会や薬剤師会、行政機関として酒田市も加わる。県北西部の酒田市(人口10.0万人)、遊佐町(1.3万人)、三川町(0.7万人)、庄内町(2.0万人)、鶴岡市(12.2万人)からなる庄内二次医療圏(計27.9万人、県人口の約25%)が対象地域。高齢化率36.0%で過疎化、少子化が進んでいる。

 代表理事を務める栗谷義樹氏は「40年には圏域の人口が20万人を切る。医療・介護需要は下がり続け、担い手の絶対数も不足。病院を統合しても新規患者は伸びず、中小病院は急性期では生き残れない。この状況を医療機関、介護事業所単体で対応しようとしても、消耗戦になるだけだ」と強調。事業拡大ではなく、縮小する需要に対しどう合理的に事業を収束していくかを、相互支援することが法人設立の目的だと話す。

経営資源を連結・最適化

 ベースにあるのが「地域での医療・介護費用の連結決算」の考え方。地域単位で費用のムダをなくし、かつ医療圏域から資産を流出させないようにする。「例えば、医療機器。患者を呼び込む手段としてCTやMRIを置くクリニックも多いが、実際は半日しか稼働していない」と栗谷氏は説明する。同法人では、事務局を置く日本海総合病院に検査・手術機能を集約化し、あわせて参加法人間で医療機器等を共同利用することで高額機器の重複投資を抑制する。

 人材に関しては、採用計画や不足する職種の情報を法人間で共有。職員派遣や共同研修も行う。今年3月は医師8人、看護師6人、放射線技師1人の出向実績。「以前は多額の費用をかけて地域外のフライトドクターと契約する医療機関もあった」(栗谷氏)。参加法人が運営する訪問看護ステーションの再編・統合なども手がけてきた。19年に参加した社会福祉法人正覚会の渡部清明常務理事は、「特養の嘱託医が辞め、新たに契約する必要があった。社福での医師確保はハードルが高いと感じていたが、連携推進法人に相談するとすぐ見つかった」と話す。

 なかでも渡部氏が連携推進法人の強みを感じたのがコロナ禍。参加法人の施設で感染者が発生すると、日本海総合病院が認定看護師を派遣しゾーニング等の早期対応を行った。各医療機関・施設の感染対策物品等の在庫状況も掌握し、特定の施設だけ物資が不足しないよう調整を行った。

情報共有は生産性向上に

 医療・介護連携を円滑にしているツールが11年から運用を開始した医療情報共有システム「ちょうかいネット」。同意を得た患者の診療記録、調剤情報、健診結果などあらゆる医療情報を見ることができる。6月現在、患者のべ登録数は6万650人。圏域人口の23%にあたる。

 社会福祉法人光風会の池田剛理事長は「介護施設のメリットが大きい。特に退院~施設入所時。病院の主治医に電話をかけて確認するなどの手間がなくなった。情報がタイムリーに得られ、スピード感が全然違う」と述べる。

 栗谷氏は「一番よく見られているのは医師の診療記録。逆に言えば、これが共有できなければシステムの価値が大きく下がる」と説明。ちょうかいネットの活用でカンファレンスの時間が半減した現場も多い。「クリニックの医師も、今まで手書きだった紹介状の概念が完全に変わった。全体の最適化には生産性向上が必須。情報共有が果たす役割は大きい」。
(シルバー産業新聞2023年7月10日号)

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