ニュース

社会福祉協議会 求職者のミスマッチ減らし定着支援

社会福祉協議会 求職者のミスマッチ減らし定着支援

 山形県社会福祉協議会では、県内での介護人材確保に向け、求職者や事業者向けの就職支援の他、就職後の人材育成に向けた研修等を実施している。

 同協議会福祉人材センターが行う「福祉人材無料職業紹介事業」では、昨年度の新規求人数3351人に対し、新規求職者はわずか581人に止った。

 同協議会人材研修部副部長で福祉人材センター長の鈴木利宜氏は「近年はコロナ禍ということもあり、より求職者が減少傾向だった。しかし、きめ細やかなマッチング支援で採用者数は例年並みを維持している。今は幅広い層の求職者確保が課題だ」と話す。

 同センターでは福祉・介護の仕事に興味があり、就労を考えている人向けに「福祉の仕事職場体験事業」を開催。2日間で▽施設・事業所の説明や見学▽職員との交流▽利用者との交流▽日常業務の体験――等を行う。

 「介護の仕事に興味がある」「仕事内容がわからない」「介護現場に復帰したい」など求職者の抱える不安解消や、就職後のミスマッチを防いで人材定着に繋げる。

 鈴木センター長は「施設見学を通じて、雰囲気を知ってから次のステップに進むこともできる。求職者から○○の施設を見学したいと希望を受けて調整することもある。我々としても事業者・求職者にとってミスマッチが起きないようにサポートを心がけており、福祉人材の定着につながるよう努めている」と話す。

 福祉の仕事の体験者は、22年度は4人だったが、今年は6月1日の募集開始から2週間で延べ6人の応募が集まっている。

 今年度からは保育の職場体験事業も実施。同協議会人材研修部の村山紀子部長は「介護については県内全域で人材不足だが、保育については少子化によって、閉所となっている地域もある。求職者と事業所をしっかり繋げられるよう取組んでいく必要がある」と強調する。

 この他、中高校生向けに介護職の体験イベント「KAiGOのおしごとひろば」等も共催している。

スキルアップや交流の場づくり

 同センターでは、山形県社会福祉研修センターと一体となり人材育成として▽福祉サービスに求められる専門性▽チームの一員として求められる組織性▽マネジメントやハラスメント対策――など人材の定着を目的とした職員のスキルアップにつながる研修を定期開催している。

 今年度は新任職員研修、専門研修、キャリアパス対応研修など、全25コース、37本の研修を実施予定。多職種連携やチームケアが推進される中、リーダー育成研修や人材マネジメント研修などにも注目が集まっているという。

 施設・事業者向けには「求人力アップセミナー」を開催。学生が求職時に注目するポイントや、介護の魅力を上手に発信するための視点等を伝える。最終的には施設・事業所が独自に必要な情報を発信し、人材確保に繋げられる体制づくりを目指す。

 「以前は就職条件に高賃金を挙げる求職者が多かったが、最近は働きやすさや、子供との時間などプライベートとの両立の視点で職場を選ぶ人も多い。施設・求職者のニーズをしっかり伝えていきたい」(鈴木センター長)

 このほか、勤務年数3年未満の県内の介護職員同士が交流する「介護職員学習交流会」を年2回開催。参加者からは「他施設に勤務する同世代の職員と悩みや仕事への想いを共有できてよかった」と好評だという。

 村山部長は「介護現場では、子供がいる人、アクティブシニアなど誰もが働きやすい職場づくりに丁寧に取組んでいる。その結果として県全体の離職率低下にも繋がっている」と評価する。

 鈴木センター長は「本会への相談者の中には、親の介護のため離職し、その後仕事が見つからずに生活が困窮した人もいる。そういった方々にも本センターを利用してほしい。介護人材の確保と併せて、研修を通じた利用者と家族を支えられる人材の育成にも取組んでいきたい」と話す。
(シルバー産業新聞2023年7月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル