日本全国福祉用具事業所巡り

日本全国福祉用具事業所巡り②京都府長岡京市「スマイルケア」 制度の枠超え「生活の場」を支える

日本全国福祉用具事業所巡り②京都府長岡京市「スマイルケア」 制度の枠超え「生活の場」を支える

1966年(昭和41 年)に機械加工業で創業したスマイルケア(京都府長岡京市、荒井隆志社長)は、92年(平成4年)に身体障がい者向けの入浴介助用リフトの自社開発で福祉介護領域に参入。00年の介護保険制度開始時に福祉用具貸与事業所として指定を受けた。京都府全域と大阪府一部地域でレンタル・販売・住宅改修事業を展開しており、福祉用具貸与利用者は4660人(介護サービス情報公表サイトより)。福祉用具はほぼ全て自社所有し、本社併設の設備で洗浄・メンテナンス・保管をする。同社の特徴は、介護保険制度外の階段昇降機事業部「スマイルリフト」を立ち上げ、国内大手メーカー4社の階段昇降機などを制度外レンタルできる仕組みを展開したこと。荒井社長は「制度外の階段昇降機レンタルは競合他社も増えたが、対前年107%で成長している」と話す。

 階段昇降機事業部「スマイルリフト」では、国内主要4社の階段昇降機を取扱う。荒井社長は「先代社長の荒井祐子(現会長)が、障がい児向けのリフトに関わったことが階段昇降機事業に取り組んだ経緯」と説明する。

 同社の階段昇降機は年商1億円(販売・レンタル利用含む)で、対前年107〜108%の成長が続く。取締役部長の曽我賢志氏は「創業以来の金属加工技術を生かし、施工からメンテナンスまで一貫して自社対応できることが強み」と話す。

 人気機種はメンテナンスフリーで耐久性の高い「タスカルシリーズ」(新光産業)。

 ホームページ「スマイルリフト」での情報発信も活発。全国のケアマネジャーや介護家族等から直接の問合せも多い。本社のある長岡京市周辺の地域包括支援センターからは「ターミナルケアを在宅で過ごしたい人がいる。レンタルで短期利用をお願いしたい」といった依頼も増えた。

住み慣れた「生活の場」を使いよく

 階段昇降機は介護保険レンタル・販売の対象外であるが、住み慣れた自宅で生活できることを実現するために欠かせないとの考えは、制度開始当初より根強い。
 
 ただ、階段昇降機は設置・メンテナンスに技術が求められ、手間もかかるため外部委託する福祉用具事業所が多い。
階段昇降機を導入するのは「家族と共に生活したい」「施設入所を受け入れられない」など、これまでの生活の場を大切にしたい人や家族だという。荒井氏は「都市部ほどニーズが高いと感じている。居室やトイレ、浴室、物干しスペースなどが平屋で確保できる郊外に比べ、階段を使った上下移動が多いためだ」と分析する。

 また、介護保険施設や居住系サービスの入所は在宅介護に比べて高コストなため、階段昇降機の利用は保険財政を抑えることへの貢献にも。本人の負担も、施設入所での中長期の生活を考えた時、階段昇降機を設置し在宅サービスの利用を継続する方が安価になることも考えられる。

価格高騰の中でレンタル利用に脚光

 とはいえ、介護保険制度が適用されない階段昇降機の導入は、費用負担がネックになる。営業課長の竹﨑修一氏は「購入以外の選択肢として制度外レンタルの利用も提案し、多く利用いただいている」と話す。昨年来の原材料費高騰により屋内直線型70万円〜、屋外直線型90万円〜など、価格は2年前より4割ほど値上がり。「その反動で、レンタル利用の魅力が増している」(竹崎氏)。一般的にレンタル利用により、月額9500円程度から利用できる。

ケアマネとの連携・信頼を深める

 介護保険の福祉用具貸与売上は5億5000万円。マットレスを除き、ほぼ全て自社所有する。取扱いのない製品でも、ケアマネジャーから問合せがあれば基本的に仕入れるという。競合他社や大手レンタル卸で取扱いのない製品ほど、貸与期間は長くなる傾向があり償却できることが多い。ケアマネとの信頼関係も深まる。

 昨年4月に開始した「ケアプランデータ連携システム」に関しては、取引先ケアマネ事業所の導入状況を確認し、同社でも速やかに導入した。「システム利用をしているケアマネジャーは全体件数の3%くらい。ただ、これからは普及が進むと考えている」と竹﨑氏。

人への投資で「業務負担軽減」「サービスレベルの深化」

 曽我氏は「営業職を増やしている。営業職の中には300〜400人を担当する人もいたが、営業職を増やすことで担当件数を減らし、利用者に向かい合うことにより良い提案ができるようにした。また、人が育つことでこれからも事業の成長も目指せる」と説明する。

 会社として社員の資格取得も推進しており▽福祉用具専門相談員、福祉用具選定技能士、福祉用具プランナー、福祉住環境コーディネーター2級などの福祉用具関連▽リフトリーダー、リフトインストラクターなどの介護リフト関連▽介護職員初任者研修課程修了(ヘルパー)、おむつフィッター(1級・2級・3級)などのケア関連▽2級建築士、2種電気工事士などの住宅改修関連――など、幅広い人材により専門性の高い提案・施工を行う体制を強化している。

シルバー産業新聞(2024年1月号)掲載

スマイルケア社員。前列左から6人目が荒井隆志社長。7人目が祐子会長。

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