未来のケアマネジャー

課題分析標準項目の改正 しっかり内容を理解しよう

 ケアマネジャーが行うアセスメント項目を示した課題分析標準項目が改正された(介護保険最新情報Vol.1178、1179)。ケアマネジャーには、もしかすると「アセスメント項目は変わらない」という意識があったかもしれない。それだけに戸惑いを感じるだろう。

  課題分析標準項目の改正や厚生労働省のケアマネジメントに関する研究事業に幅広くかかわらせていただいている。そこで今回は、他の施策との関連も紐づけつつ、課題分析標準項目の改正の経緯等について、筆者なりの視点から解説する。

 これまで使用してきた課題分析標準項目は、介護保険制度施行時に作成された。今から23年前のことである。その頃、皆さまはどこで、誰と、どのような物に囲まれて、どのような生活をしていただろうか。当時と今を比べると、連絡方法は固定電話から携帯電話、スマートフォンへ変化した。インターネットを使用する人は国民の3割程度だったが、今や約8割だ。お嫁さんの介護からヤングケアラー支援、身寄りのない方の支援が必要な時代になった。医療と介護は、実践上の接点も報酬上の加算も無かった時代から、連携は当然、報酬も何種類もの加算が存在している。紙面では語りつくせないほどの変化があった。

  そのためケアマネジャーの多くの方々は、時代にそぐわなくなった項目や用語を今日的な視点に置換して記入したり、本当は収集した情報があるのに、記入可能な項目が存在しないために記入できず、情報は担当者の頭の中だけといった状況は珍しくなかったのではないだろうか。
  ケアマネジメントでは「アセスメントに始まり、アセスメントに終わる」といわれるほど、課題分析は重要な位置付けにある。また、実務研修で習ったように、ニーズオリエンテッドなので、ニーズ抽出が的確であってこそ、ケアマネジメントの展開は適切なものとなる。つまり「どのような視点と知識をもって、何をアセスメントするか」は、ケアマネジメント全体を左右する。となれば、23年前のアセスメント項目を今日版へ見直す必要性が無いといいきれるだろうか。

 課題分析標準項目を見直す委員会では、こうした状況を少しでも改善できるように今日的な項目や用語にアップデートを試みた。実は多くの変更事項が提案されたが、ケアマネジャーの業務を激変させてはならない。必要な改正を行いながらも影響は最小限にとどめる工夫について意見が交わされた。
 課題分析標準項目が改正された理由は他にもあった。筆者なりに整理すると、法定研修の改定のポイントと重なると考えている。・適切なケアマネジメント手法に対応できるよう工夫された・本人と家族の意向を明示するとともに、意思決定支援の視点を重視した・地域共生社会の流れのなかで他法他制度の利用状況を見えるようにした。

 法定研修では、事例を持参したり、日頃行っている実践を振り返りながらディスカッションする。全国のケアマネジャーが標準的に学習する内容を日頃の実践へつなげられるようにしなければならない。要すれば、習得内容と実践がつながるようにすることだ。これは一時的には多少面倒であっても、結果として利用者に利益があると考えられた。
 最後に、多くの方がご不安に思っていることの解消につながればとの思いで二つのことを解説する。

 ①手間は増えるのか。
 項目数は新旧ともに23である。
 ②新しい課題分析標準項目は、いつから使用しなければならないのか。

 課題分析標準項目は課長通知であるため、そもそも施行日という概念は存在しない。なぜなら、お知らせといった意味合いだからである。つまり、これに準じるかどうかは通知を受けとった側にかかっている。つまり、保険者と現場のケアマネジャーがどのように考え、運用するかにかかっている。23年ぶりの改正である。焦らずしっかりと内容を理解し、どのように対応していくのかディスカッションしてみるとよいだろう。アセスメントを考えることは、これからの介護支援専門員の役割や機能を考えることにもつながるからだ。

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