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【ケアマネアンケート】介護職給与増 「評価できる」74%
17年度に行われた臨時の介護報酬改定によって、介護職員処遇改善加算を取得している事業所では、常勤介護職員の平均給与額が前年比で1万2,200円増加したとの厚労省の発表について、現場で働くケアマネジャーはどのように受け止めているのか――。本紙がアンケートを実施したところ、今回の処遇改善結果を「評価できる」と答えたケアマネジャーが74%に達することがわかった。
人材不足が深刻化している介護業界。その最も大きな理由は、介護職員の賃金が他産業と比較して低い点にある。
こうした状況に対し、厚生労働省では処遇改善加算などを創設し、介護職員の給与改善を進めてきた。昨年4月には、臨時の介護報酬改定を行い、介護職員処遇改善加算に昇給と結びついたキャリアアップの仕組みを手厚く評価する新加算(Ⅰ)を創設し、介護職員の賃金をさらに月額1万円相当引き上げる策を実施した。
今年4月に公表された「2017年度介護従事者処遇状況等調査」では、昨年4月に実施した臨時の報酬改定により、介護職員処遇改善加算を取得している事業所では、常勤介護職員の平均給与額が月額29万3,450円と、前年比で1万2,200円増加したとの調査結果が報告されている。
この結果を受け、本紙では4~5月にかけて、現場で働くケアマネジャーにアンケートを実施。その結果、今回の処遇改善結果を「評価できる」と答えたケアマネジャーが74%に達することが分かった。
「評価できる」と答えた理由を自由記入で尋ねたところ、最も多かったのは、「介護職員の離職防止につながるため」(広島県、女性)、「人材確保の面で、影響は大きいと思うので」(広島県、男性)など、介護職員の人材確保や離職防止につながるとする意見。
次いで、「仕事の内容や量に対して、もっと給与面で評価されるべき」(愛媛県、女性)、「本当に大変な仕事なので、一般の会社員よりも給料が低いのは忍びない。処遇改善は不可欠」(群馬県、女性)など、介護労働の対価が十分でない点を指摘する意見が多かった。
このほか、「(給与が増えたことで)職員が主体性を持って、自分の意見を述べたり、自ら研鑽に励んだりするようになる」(群馬県、女性)など、現場の質の向上につながるとする意見も目立った。
一方、今回の処遇改善結果を「評価できない」と答えたケアマネジャーも23%いた。
自由記入で最も多かったのは、「前年比1万2,200円増加の実感が湧かない」(愛媛県、女性)、「平均給与額の数字が高くて信じられない。1万2,200円の増加額も本当なのか」(北海道、女性)など、国が公表している数字と現場の肌感覚に乖離があるとする意見。この部分については、国が公表している平均給与額が、基本給と手当に加えて、4月~9月に支給された一時金(ボーナス)の1/6カ月分も含めた金額になっていることが影響していることなども考えられる。
それ以外の意見では、「処遇改善加算を取得するかどうかは、その事業所の方針に左右されるため、全体的な改善対策とは思えない」(広島県、女性)や、「なぜ、ケアマネジャーには処遇改善加算がつかないのか」(北海道、女性)など、処遇改善加算の仕組みそのものを疑問視する意見が目立った。
さらにアンケートでは、来年10月に予定されている消費税の引き上げに伴い、勤続年数10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の賃上げを算定根拠にした処遇改善策を政府が実施する考えについても意見を求めた。
寄せられた意見で多かったのは、支払い方法について。「介護職ばかりではなく、相談業務などの職員にも処遇改善を望みたい」(広島県、女性)といった、処遇改善加算の対象範囲の見直しを求める意見や「処遇改善加算という形ではなく、介護の現場で働いている人達が役場に申請して、子供手当のような、直接もらえる形にして欲しい」(広島県、男性)など、事業所の方針に左右されない形で処遇改善が受けられる仕組みを求める意見があった。
ほかにも、「勤続年数10年以上の介護福祉士に月8万円ではなく、離職防止の為に、3~5年くらいでの賃上げも必要だと思う」(広島県、女性)など、段階的な勤続年数の評価が有効だとする意見や、「研修参加の有無や資格など、それぞれのスキルに応じた評価にしたほうがよい」(広島県、女性)といった、勤続年数ではなく、能力に応じた評価を求める意見も寄せられた。
※アンケートは4~5月にかけておこない、全国のケアマネジャー69人から回答を得た。
(シルバー産業新聞2018年6月10日号)
こうした状況に対し、厚生労働省では処遇改善加算などを創設し、介護職員の給与改善を進めてきた。昨年4月には、臨時の介護報酬改定を行い、介護職員処遇改善加算に昇給と結びついたキャリアアップの仕組みを手厚く評価する新加算(Ⅰ)を創設し、介護職員の賃金をさらに月額1万円相当引き上げる策を実施した。
今年4月に公表された「2017年度介護従事者処遇状況等調査」では、昨年4月に実施した臨時の報酬改定により、介護職員処遇改善加算を取得している事業所では、常勤介護職員の平均給与額が月額29万3,450円と、前年比で1万2,200円増加したとの調査結果が報告されている。
この結果を受け、本紙では4~5月にかけて、現場で働くケアマネジャーにアンケートを実施。その結果、今回の処遇改善結果を「評価できる」と答えたケアマネジャーが74%に達することが分かった。
「評価できる」と答えた理由を自由記入で尋ねたところ、最も多かったのは、「介護職員の離職防止につながるため」(広島県、女性)、「人材確保の面で、影響は大きいと思うので」(広島県、男性)など、介護職員の人材確保や離職防止につながるとする意見。
次いで、「仕事の内容や量に対して、もっと給与面で評価されるべき」(愛媛県、女性)、「本当に大変な仕事なので、一般の会社員よりも給料が低いのは忍びない。処遇改善は不可欠」(群馬県、女性)など、介護労働の対価が十分でない点を指摘する意見が多かった。
このほか、「(給与が増えたことで)職員が主体性を持って、自分の意見を述べたり、自ら研鑽に励んだりするようになる」(群馬県、女性)など、現場の質の向上につながるとする意見も目立った。
一方、今回の処遇改善結果を「評価できない」と答えたケアマネジャーも23%いた。
自由記入で最も多かったのは、「前年比1万2,200円増加の実感が湧かない」(愛媛県、女性)、「平均給与額の数字が高くて信じられない。1万2,200円の増加額も本当なのか」(北海道、女性)など、国が公表している数字と現場の肌感覚に乖離があるとする意見。この部分については、国が公表している平均給与額が、基本給と手当に加えて、4月~9月に支給された一時金(ボーナス)の1/6カ月分も含めた金額になっていることが影響していることなども考えられる。
それ以外の意見では、「処遇改善加算を取得するかどうかは、その事業所の方針に左右されるため、全体的な改善対策とは思えない」(広島県、女性)や、「なぜ、ケアマネジャーには処遇改善加算がつかないのか」(北海道、女性)など、処遇改善加算の仕組みそのものを疑問視する意見が目立った。
さらにアンケートでは、来年10月に予定されている消費税の引き上げに伴い、勤続年数10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の賃上げを算定根拠にした処遇改善策を政府が実施する考えについても意見を求めた。
寄せられた意見で多かったのは、支払い方法について。「介護職ばかりではなく、相談業務などの職員にも処遇改善を望みたい」(広島県、女性)といった、処遇改善加算の対象範囲の見直しを求める意見や「処遇改善加算という形ではなく、介護の現場で働いている人達が役場に申請して、子供手当のような、直接もらえる形にして欲しい」(広島県、男性)など、事業所の方針に左右されない形で処遇改善が受けられる仕組みを求める意見があった。
ほかにも、「勤続年数10年以上の介護福祉士に月8万円ではなく、離職防止の為に、3~5年くらいでの賃上げも必要だと思う」(広島県、女性)など、段階的な勤続年数の評価が有効だとする意見や、「研修参加の有無や資格など、それぞれのスキルに応じた評価にしたほうがよい」(広島県、女性)といった、勤続年数ではなく、能力に応じた評価を求める意見も寄せられた。
※アンケートは4~5月にかけておこない、全国のケアマネジャー69人から回答を得た。
(シルバー産業新聞2018年6月10日号)