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やしお苑 施設内療養想定し非接触を強化

やしお苑 施設内療養想定し非接触を強化

 高齢者福祉施設やしお苑(埼玉県八潮市)は今年1月に入所者4人、ショート利用者2人、職員2人の計8人が新型コロナウイルスに感染した。当時は第3波の渦中で、県内の受入れ病床は限界の状況。入院したのは1人だけで、他の利用者は施設内療養を余儀なくされた。施設サービス部門長の根岸久美子氏(生活相談員)は「とにかく陽性者を増やさないことを徹底した」と話す。昨年整備した感染症対策マニュアルを基本に、密回避などを強化した。

フロア間移動禁止/食事は同室者と

 同施設は2~3階が特養とショートで、1階に居宅介護支援と通所介護、地域包括支援センターが入る。看護師など一部の職種を除き、職員のフロア間の移動は原則禁止。同マニュアルでは出勤時の動線も図示している。

 また、食事時は同じテーブルに座るのは同室利用者のみで、最大2人。卓には透明のパーテーションを設置(写真)。食事時間は2部制で分けている。

 手指消毒は「1ケア・1消毒」を徹底。職員は消毒液を常時携帯し、利用者に触れる前・触れた後は必ず消毒を行う。各部屋の入口、エレベーターなど目につく場所にも可能な限り消毒液を設置した。

「感染疑い」 習慣化で現場力アップ

 同マニュアルでは感染発生時のゾーニングも示している。個室の場合は個室前の廊下をパーテーションで仕切り、対応職員の待機・休憩場所に。対応職員は数人に限定し、その他の職員と接触しない。個室内はガウンを着脱する場所、感染者の対応場所を間仕切りで区別する。

 多床室のパターンも。「保健所の指導上、陽性者と陽性者以外は別室が原則。ただ、当施設の多くは4人部屋。完全隔離が難しい状況も想定しておかなければならない」(同氏)。ガウン、フェイスシールド等の個人防護具は1カ月分を備蓄する。

 根岸氏は「春先など季節の変わり目は体温調節が難しく、微熱が出ることが多い」と説明。協力医療機関に発熱外来があり、今はPCR検査を行えば翌日午後に結果が出るが、それまでの約1日は「コロナ疑い」として隔離対応をとる。「こうしたケースが月に数回ある。『いつものこと』と見過ごさず、感染を前提とした動き方をすることが重要。現場の対応力は間違いなく向上している」
感染(疑い)者へ対応する場合の防護具

感染(疑い)者へ対応する場合の防護具

県認証、 対応強化のはずみに

優良施設認証を背に根岸氏

優良施設認証を背に根岸氏

 5月6日には「埼玉県新型コロナウイルス感染症対策優良施設認証制度」の認証第1号を取得した。①感染防止対策責任者を配置②基本的な感染防止対策が講じられている③感染発生を想定したシミュレーションを実施④県などが実施するPCR検査等を職員が定期的に受診――を認証基準とする県独自制度で、書類審査、感染管理認定看護師のオンライン審査を受ける。

 認証施設は簡易陰圧装置や換気設備等の導入補助が優先的に受けられる。介護保険の施設系・居住系サービスのほか、サ高住や養護老人ホーム、軽費老人ホームが対象。5月28日現在、30カ所が認証を受けている。

 「感染対策が適切か、客観的に評価していただく良い機会だと思った。施設内の換気状況や備品の過不足など、具体的なアドバイスももらえた」(根岸氏)。

(シルバー産業新聞2021年6月10日号)

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