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21年報酬改定で論戦

21年報酬改定で論戦

6月25日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・田中滋埼玉県立大学理事長)が開催。次期報酬改定に向け、委員から広範囲にわたる意見が出された。(敬称略)

「コロナ施策を整理すべき」 河本滋史 (健康保険組合連合会)

 要介護度が改善すると、介護報酬は減っていく構造。メリハリの利いた報酬体系にすべき。新型コロナ感染対策は臨時的取扱いだが、恒常的に取り組むべきことと、あくまでも例外的な措置をしっかり整理すべきだ。

「特定処遇加算 手続き簡素化を」 大西秀人 (全国市長会、 高松市長)

 特定処遇改善加算はまだ6割の取得で、未取得が4割にのぼるのは、手続きが煩雑で、賃金バランスがとれないから。手続きの簡素化や柔軟な配分を認めてほしい。緊急包括支援事業のなかでの慰労金だけではなく、感染防止策をとりつつ、例外的な報酬設定も必要だ。

「口腔ケアをしっかり位置づけ」 小玉剛 (日本歯科医師会)

 オーラルフレイルの対策が望まれる。摂食嚥下機能訓練は、医療保険でもリハの一種、介護保険でも位置づけてほしい。介護施設入所者への肺炎予防、体重減少予防が重要。歯科専門職関与や助言も重要。ミールラウンド参加へのニーズが現場の多職種からある。

「ADL維持等加算 要件緩和を」 今井準幸 (民間介護事業推進委員会)

 自立支援・重度化防止にとって重要なADL維持等加算だが、算定率が低い。事業者側からみると、ハードル高い。算定要件の緩和を要望したい。

「ケアマネと連携して服薬管理を」 荻野構一 (日本薬剤師会)

 リハビリテーション、栄養、口腔ケアのトライアングルに加え、薬の管理も重要。ポリファーマシーへの対応がある。高齢者は服薬の種類も多く、有害事象も高まる。減薬にも薬剤師が力を発揮。そのためにはケアマネと薬剤師とのより一層の連携が欠かせない。

「安定経営こそ最も重要」 椎木巧 (全国市町村会、周防大島町長)

 介護の魅力向上をめざす。制度の持続可能性では、安定経営が最も重要。コロナ禍でわが町の病院も厳しい。

「血液データを調査項目に」 武久洋三 (日本慢性期医療協会)

 医療的に重度、要介護、両方が悪い人が増えている。アルブミン値の項目はCHASEに含まれるが、血液データを入れると、医療・介護の両面がわかる。

「職員の専従要件の見直しを」小泉立志 (全国老施協)

 サービスの質の可視化として、CHASEやバーセルインデックスが重要。データの提供や取り組みを評価する。通院は付き添いへの評価なども検討してほしい。職員の専従要件の見直し・緩和を考えてほしい。タスクシェアリング、シフティングだ。同一敷地で、職員が業務に支障がない範囲で柔軟な取り扱いを。

「介護人材確保は賃金アップで」 伊藤彰久 (連合)

 人材確保は、どういう状況にあるのか。日本介護クラフトユニオンの組合員が上げる課題の1位は低賃金。人材サービス会社の調査でも同様。

「介護福祉士一元化 実現すべき」 藤野裕子 (日本介護福祉士会)

 先の国会で介護福祉士国家資格一元化が延期された。リーダーシップや役割を高めるためしっかりと実現させなければならない。

「リハビリに卒業はない」江澤和彦 (日本医師会)

 リハビリに卒業はない。活動と参加のリハは切り分けて、継続されたリハをどう提供していくのか。他の委員からも指摘があるように、生活機能向上連携加算の取得が極めて低調。相対契約が非常にあいまい。公的に評価すべき。

 口腔ケアは施設では取り組まれているが、在宅に戻ると難しい。

 コロナ対策として感染対策委員会は介護現場でも毎月開催すべきだろう。

「不安な訪問介護員の特例」 鎌田松代 (認知症の人と家族の会)

 訪問介護員の臨時的取扱い。専門性は十分か、いつまで認めるのか。

(事務局の回答)必ずしも訪問介護員でなくてもよいという特例。いつまでと今は説明できない。

 特例措置により、デイの都合で3時間の提供で6時間の利用料がとられる。大変な中で事業継続しているのはわかるが、利用者負担にはねかえるのは納得しがたい。介護報酬以外での対応を。

(事務局の回答)通常より手間をかけてデイの準備をしている部分を評価している。利用者にしっかりと説明して納得いただき、同意が得られた場合に算定できる。他の支援策も設けているので、組み合わせながら対処してほしい。

(シルバー産業新聞2020年7月10日号)

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