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介護経営実調 収支差率2.4% 17サービスで悪化

介護経営実調 収支差率2.4% 17サービスで悪化

 10月30日、厚生労働省は介護事業経営実態調査の結果を社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)へ報告した。2019年度の収支差率は全サービス平均で2.4%。18年度(経営概況調査)から0.7ポイント減少した。介護医療院を除く22サービス中17サービスで収支差率が悪化した。収入に対する給与費割合が16サービスで増加している。

 経営実態調査は、前年度決算をもとに各サービスの収支差率や給与費割合を示したもの。次期介護報酬改定の改定率、各サービスの見直しへの重要な基礎資料となる。今回の実態調査は19年度の1年間の決算データをもとに実施。1万4376事業所から回答。有効回答率は45.2%だった。

 経営指標の一つ、収益性の高さを示す収支差率は全体で2.4%。18年度の3.1%から0.7ポイント悪化した。

 収支差率が最も高かったのは定期巡回・随時対応型居宅介護の6.6%。ただ前回からは2.1ポイント減となっている。続いて高い認知症対応型通所介護は5.6%で、こちらも1.8ポイント減。新設の介護医療院が3番目に高い5.2%という結果だった。

 また、全体の収支差率0.7ポイント減が示すように、今回17サービスで収支差率が悪化。マイナス幅が大きかったのは夜間対応型訪問介護(2.5%、▲2.9ポイント)看護小規模多機能型居宅介護(3.3%、▲2.6ポイント)、定期巡回サービス(▲2.1ポイント)と地域密着型サービスが上位に集中した。

 一方、収支差率が改善したのは訪問入浴介護(3.6%、+1.0ポイント)、福祉用具貸与(4.7%、+0.5ポイント)、特定施設入居者生活介護(3.0%、+0.4ポイント)など。改善幅は小さい。

居宅▲1.6% マイナス域脱せず

 介護保険創設以来、唯一収支差率がマイナスを続けている居宅介護支援は、前回概況調査で▲0.1%とプラス目前まで迫ったが、今回▲1.6%と再び悪化した。

 収支差率別の分布で見ると、ほとんどのサービスが収支差率0~10%の事業所割合が多い中、居宅介護支援は▲0.5~0%が最も多いゾーン。収支差率が▲15%以下の事業所も15%以上と、依然として厳しい経営実態を示している。

 なお、ケアマネジャー(常勤換算)1人あたりの利用者数は39.4人で18年度より3.1人増加。ただし利用者1人あたりの収入は1万2021円で425円(3.4%)減少した。

給与費割合は増加 人材確保の厳しさ表す

 収入に占める給与費の割合は16サービスで増加。特に、収支差率が悪化したサービスのうち13サービスで給与費割合が増加していることからも、人件費が収益を圧迫している経営実態が見てとれる。19年10月に創設された介護職員等特定処遇改善加算の影響も考えられる。

 給与費割合が高いのは居宅介護支援(83.6%、+0.2ポイント)、夜間対応型訪問介護(82.8%、+6.1ポイント)、定期巡回サービス(78.8%、▲0.3ポイント)など。70%以上は全て訪問系が占めている。

 委員からは、今回の調査結果が人材確保の困難さを示しているとの指摘や、あわせて人件費に見合った報酬の引上げを求める意見などがあがった。

(シルバー産業新聞11月10日号)

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