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医療の質向上・効率化へICT・DX推進

医療の質向上・効率化へICT・DX推進

 まもなく施行を迎える24年診療報酬改定、その基本的視点の一つが「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」。ICTを用いた多職種連携や、オンライン資格確認で収集した情報の活用推進などが報酬上で評価された。

 訪問診療を行う医療機関がICTを用いて他医療機関等から患者の医療・ケア情報を活用し、医師が計画的な医学管理(在医総管・施設総管・在宅がん医療総合診療料)を行う場合、新たに「在宅医療情報連携加算」(100点、月1回まで)を算定できる。歯科の「在宅歯科医療情報連携加算」も同様。

 在宅医療の現場では既に「メディカルケアステーション」(エンブレース社)など、関連職種間での情報共有・申し送りツールが活用されている。今回はこうした取組を報酬評価し、効率的で質の高い在宅医療を推進する。

 患者情報を共有する連携先は5以上とし、ケアマネジャーや介護事業所も含まれる。過去90日以内に記録された情報のうち、ICTで取得した情報が1つ以上あること。事前に患者の同意が必要となる。

 連携先から医療・ケアの助言の求めがあった場合、適切に対応しなければならないことも明記。これら連携体制を構築していることや、患者の情報共有の実績がある連携先の名称等は院内掲示、および原則ウェブサイトに掲載する。

 介護事業所としても情報連携チームの一員となることは、医療提供内容の把握、医療機関等へ相談しやすい関係構築が期待でき、メリットが十分あると考えられる。

「オン資」活用体制

 患者の保険資格の確認をオンライン上で行う「オンライン資格確認」は、患者の医療情報を有効活用し、安心・安全で質の高い医療を提供することを目的に、2023年4月より医療機関・薬局に導入を義務づけ。今年3月末時点で経過措置等を除く約21万施設(レセプト請求施設の94.6%)が運用している。

 今改定では、オンライン資格確認で取得した診療・薬剤情報を診療に活用する体制整備を評価する「医療DX推進体制整備加算」(医科8点・歯科6点・調剤4点。月1回まで)を新設。電子カルテ情報共有サービスの利用(25年3月31日まで経過措置)や健康保険証としてのマイナンバーカードの利用実績(24年10月1日適用)、医科・歯科は電子処方箋を発行する体制(25年3月31日まで経過措置)などを要件とする。

 今年4月からは訪問診療(歯科・服薬指導含む)、6月からは訪問看護でのオンライン資格確認(居宅同意取得型)の運用も開始。モバイル端末を利用し、患者宅で資格確認が行えるようになる。訪問看護は今年12月に予定されている健康保険証の廃止に伴い、オンライン請求・オンライン資格確認が義務化される。

 こちらも医療DX推進体制整備加算と同様、情報活用の体制整備を「在宅医療DX情報活用加算」(医科10点・歯科8点)、「訪問看護医療DX情報活用加算」(5点)で評価される。

 このほか、へき地診療所・へき地医療拠点病院が、看護師が患者宅に一緒にいる状態でオンライン診療を行った場合(D to P with N)、「看護師等遠隔診療補助加算」(50点)を算定できる。

 訪問看護では介護報酬と同じく、看護師がICTを用いて医師の死亡診断等の補助を行う「遠隔死亡診断補助加算」(150点)が新設された。
(シルバー産業新聞2024年5月10日号)

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