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大東市 手すりのみ利用の要支援者 レンタル1年後、 希望者に新品提供

大東市 手すりのみ利用の要支援者 レンタル1年後、 希望者に新品提供

 大阪府大東市(人口12万人)の「福祉用具レンタル事業所による介護予防事業」が9月1日に始まった。1年以上の期間、介護保険で手すりの福祉用具貸与のみを利用する要支援者を対象に、市から新品を提供し、以後6カ月ごとに福祉用具専門相談員がモニタリングなどを行うモデル事業。福祉用具貸与24事業所が参加を表明している。同市は地域支援事業に位置づけ、介護予防推進をめざす。厚労省の「福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の議論の整理でも、一定期間の貸与後の販売移行が挙げられた中、注目の取り組みだ。同市高齢介護室の逢坂伸子課長に聞いた。

専門相談員が継続的にモニタリング

 ――24の貸与事業所が参加表明した。

 9月1日の開始までに本事業に参加する貸与事業者6事業所と契約(1年更新)を交わした。現在、本事業に参加表明しているのは24貸与事業所。事業の要件に合う利用者が現にいる状況で、その都度契約を交わすことにしている。現時点で事業の対象となる利用者(手すり貸与のみの単品プランで1年以上利用する人)は80人程度になる。

 ――当初、貸与事業所からの評判は芳しくなく、参加意向を示す事業所は少なかった。

 当初はレンタルしていた製品を払い下げることとしていたが、利用者に市から新品を提供することにしたところ、貸与事業所の見方が変わり、事業参加が増えた。

 ――地域支援事業として実施し、承諾した貸与事業所と利用者が事業に参加する。

 要支援者のモニタリング時(3カ月ごと)に、地域包括支援センター(再委託を受けた居宅介護支援事業所)は、本事業の対象となる利用者へ事業を利用するかどうか意向確認を行っている。利用意向を示している人は70人程度いる。

 ――そもそもケアマネ不足が本事業開始の理由だった。

 全国のケアマネジャーの増加数は、要介護認定者の増加度合いに比べて少なく、各地でケアマネ不足の状況だ。

 本市でも同様の状況になりつつあり、特に予防マネジメントを受けるケアマネジャーが足りない。福祉用具貸与のみのプランを見直すことで、ケアマネ不足への対策とする。

 ――予防プランの状況について。

 これまで本市の予防プランは1200件あったのが、今750件まで減らしてきた。これは本人の努力とケアマネジャーの自立支援に向けた取り組みの成果だと思う。

 本市では2014年から、地域包括支援センターにリハ職の配置を進め、要支援者を元の生活に戻す取り組みを行ってきた。要支援になった人を自立した生活に戻すため、生活を見直し改善をめざす、介護予防マネジメントを実践している。

福祉用具レンタル事業所による介護予防事業

【事業の内容】
 介護予防福祉用具貸与により手すりのみを利用している要支援認定者を対象に、手すりを1年間貸与した後、状態の変化や認知症等の問題がないとケアマネジャーが判断した場合、利用者の意向を確認した上で新品を提供し、その後のモニタリングを福祉用具貸与事業者が行う。

 モニタリングの結果については、地域包括支援センターに報告し、生活機能の低下や、再度何らかの支援が必要と判断された場合には、専門職が総合相談として訪問の上、必要な支援を行う。

 地域包括支援センターからの委託事業として実施する。

【委託料の内訳】
 ▽新品の福祉用具の価格 :メーカー定価10万円まで(利用者負担はメーカー定価価格の5%)※複数レンタルの場合も、合計定価10万円まで▽福祉用具貸与事業者による年2回のモニタリング:1回訪問につき3000円。訪問月以外の電話連絡(月1回上限)1000円※頻度は利用者と協議する。▽修理費用は利用者負担5000円まで。それを超えた部分は、上限1万円で補助▽修理等の訪問は1回3000円(上限年4回)▽事業不参加事業所での1年レンタル後、本事業に切り替えた場合、本事業参加事業所に新規切替加算3000円

(シルバー産業新聞2022年9月10日号)

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