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ケアマネのアクセス力活かす 「古河モデル」

 茨城県介護支援専門員協会古河地区会と古河薬剤師会は、ケアマネジャーと薬局薬剤師が連携し、在宅要介護者の服薬支援を行う仕組みづくりに取り組んでいる。開始2カ月で市内1500人の要介護者に対し、服薬のスクリーニングが実施されるなど、「古河モデル」として今注目を浴びている。

「在宅服薬気づきシート」でかかりつけ薬局と情報共有

 昨年10月にスタートした古河モデルには、市内16の居宅介護支援事業所と63の薬局が参画している。支援の流れは、まず担当のケアマネジャーが「在宅服薬気づきシート」を使って、利用者の服薬に関するスクリーニングを実施する。スクリーニングの項目は全部で6つ。「想定以上の残薬がある」「薬に関する問題がある」といったケアマネの気づきと「複数の医療機関を受診している」などの利用者の状況を確認するものだ。

 スクリーニング項目の策定を主導した、医師で茨城県介護支援専門員協会の赤荻栄一会長によると、「ケアマネに過度な業務負担がかからないよう、できる限りシンプルにした」という。スクリーニングの結果、一つでもチェックがついた場合、ケアマネは記入したシートをかかりつけ薬局へ送って情報を共有する。利用者のかかりつけ薬局がわからない場合も、古河薬剤師会が窓口となって対応してもらえる。 取り組み開始から、2カ月で1500人近くの利用者のスクリーニングを実施。古河市の居宅介護支援利用者2500人のうち、6割をカバーしていることになる。さらに一項目以上にチェックが付き、かかりつけ薬局と情報共有されたのが368人分。「想定以上の残薬がある」に該当する利用者は63人だった。
古河薬剤師会、高橋真吾会長

古河薬剤師会、高橋真吾会長

 ケアマネから情報提供を受けた薬剤師は、まずケアマネに詳細を確認し、必要であれば服薬指導などの対応を相談・検討する。古河薬剤師会の高橋真吾会長は、「もちろん全てのケースで、訪問服薬指導などの利用に繋がるわけではない」と話す。高橋会長が担当するケースでも、ケアマネがモニタリングなどの訪問時に、薬入れの写真を撮影して送ってもらうことで、服薬の状況を確認し、来局時に本人や家族へ助言などを行っている。公的なサービスに限らず、こうした連携によって、在宅の服薬状況を注視する支援にも繋がっているようだ。

 同会の宇田和夫副会長も、「重要なのは、服薬に関して薬剤師のアセスメントがしっかりと行われていること。ただ、薬局の薬剤師にとって、利用者の在宅での服薬状況を把握するのは容易ではない。そこで、ケアマネの『利用者へのアクセス力』が非常に重要になる」と強調。ケアマネジャーが持つ利用者へのアクセス力に、薬剤師のアセスメントが「連結」されることで、地域の在宅要介護者の服薬管理や支援が充実していくという。

 ケアマネの立場から、赤荻会長も「これまで服薬に問題がありそうと思っていても、ケアマネだけではどうしても対応が難しかった。気づきシートを通じて、地域の薬剤師と顔の見える関係ができたのが、今回の取り組みの最大の成果」とする。また、「薬剤師は疑義紹介など、日頃から医師に相談や提案をしやすい立場にいる。医師は敷居が高いというケアマネも多い中、薬剤師に間に入ってもらうことで、ケアマネと薬剤師だけで完結せず、かかりつけ医などとの連携へ広がる点も大きなメリットだ」と強調する。古河モデルの今後の課題として、高橋会長はいかに継続性を持った仕組みとするか、そのためにはもう少し知恵を出す必要があるという。そして、「この『古河モデル』が他の地域でも活用できるように育てたい」と意気込む。
古河薬剤師会・高橋真吾会長(右)と宇田和夫副会長

古河薬剤師会・高橋真吾会長(右)と宇田和夫副会長

(シルバー産業新聞2019年11月10日号)

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