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パラマウントベッド「RE-BED project」始動 使用済みベッド再資源化 水平リサイクルを推進

パラマウントベッド(東京都江東区、木村友彦社長)は、同社の使用済み医療・介護ベッドの再資源化などを軸にした、循環型経済の実現に向けた取組を「RE-BED project」と名付け、本格始動させた。同プロジェクトの背景や狙いについて話を聞いた。
パラマウントベッドグループでは、企業理念と長期ビジョン達成のプロセスにおいてESG経営を推進している。重点課題の一つに「環境に配慮した事業活動」を位置づけており、これまでに、二酸化炭素(CO2)の排出量削減や環境配慮型素材の利用、使用済み製品の再資源化など、環境経営の取組を強化してきた。
今回の「RE-BEDproject」はその一環で、「製品設計から廃棄物処理まで一貫した環境配慮型の取組を強化することによって、グループの経営目標であるサステナビリティの推進や循環型経済の実現を目指しています」と、経営企画本部の小川竜馬主事はプロジェクトの狙いを説明する。
今回の「RE-BEDproject」はその一環で、「製品設計から廃棄物処理まで一貫した環境配慮型の取組を強化することによって、グループの経営目標であるサステナビリティの推進や循環型経済の実現を目指しています」と、経営企画本部の小川竜馬主事はプロジェクトの狙いを説明する。
環境省「広域認定制度」を活用
同社がESG経営に取り組む背景には、医療・介護用ベッド特有の事情もある。医療・介護用ベッドは、高い耐久性と安全性を重視して設計されており、長期間にわたって安心して使用できる一方で、廃棄時には金属、樹脂、電子部品など、素材の適切な処理が求められる。また、耐久性が高い分、老朽化が進んだベッドがメンテナンスされないまま使用され、事故につながるケースもある。
こうした中で、同社では、使用済み製品を再資源化可能な「資産」として捉え、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を意識したESG経営を推進。具体的には、グループ会社であるパラテクノが、メンテナンスを通じて製品の長寿命化を図り、廃棄物の削減(リデュース)に貢献。パラマウントケアサービスが、製品の再利用(リユース)を主軸とした福祉用具レンタル事業を展開。
そして、パラマウントベッドでは、製品の再資源化(リサイクル)を実現するために、2012年4月より、業界に先駆けて、環境省の「広域認定制度」を活用し、使用済みのベッドを回収・再資源化する仕組みを構築してきた。
こうした中で、同社では、使用済み製品を再資源化可能な「資産」として捉え、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を意識したESG経営を推進。具体的には、グループ会社であるパラテクノが、メンテナンスを通じて製品の長寿命化を図り、廃棄物の削減(リデュース)に貢献。パラマウントケアサービスが、製品の再利用(リユース)を主軸とした福祉用具レンタル事業を展開。
そして、パラマウントベッドでは、製品の再資源化(リサイクル)を実現するために、2012年4月より、業界に先駆けて、環境省の「広域認定制度」を活用し、使用済みのベッドを回収・再資源化する仕組みを構築してきた。
回収したベッドの再資源化率99%を達成
広域認定制度の運用開始以来、同社では全国約200社の収集運搬事業者、約30社の処理施設と連携し、全国規模で使用済みベッドの回収・再資源化のスキームを構築してきた。
再資源化までの流れは、委託契約を結んだ医療機関や福祉用具事業者から使用済みベッドの回収依頼があると、収集運搬業者がベッド1台から回収に訪れ、使用済みベッドを回収拠点や処理施設へと運搬する。回収されたベッドを分解・解体した後に、処理施設で金属原料、ボイラー燃料、樹脂ペレット、路盤材などに再資源化を行う。「これまでに再資源化されたベッドの累計台数は8万5000台、再資源化率は99%に達しています」と同社で広域認定制度の取組を牽引してきた塩原聡氏は説明する。
再資源化までの流れは、委託契約を結んだ医療機関や福祉用具事業者から使用済みベッドの回収依頼があると、収集運搬業者がベッド1台から回収に訪れ、使用済みベッドを回収拠点や処理施設へと運搬する。回収されたベッドを分解・解体した後に、処理施設で金属原料、ボイラー燃料、樹脂ペレット、路盤材などに再資源化を行う。「これまでに再資源化されたベッドの累計台数は8万5000台、再資源化率は99%に達しています」と同社で広域認定制度の取組を牽引してきた塩原聡氏は説明する。
「楽匠Fit」に水平リサイクル樹脂を採用
使用済みベッドの回収・再資源化の取組を進める中で、同社では再資源化した素材を同種の製品に再利用する「水平リサイクル」にも挑戦。8月末に発売された在宅介護用ベッド「楽匠Fit(フィット)」には、回収された「楽匠」シリーズ製品から再生された樹脂材を2%含有した樹脂ボードを採用することに成功している。水平リサイクル樹脂を採用したベッドの発売は日本初で、世界的にも例を見ない取組となっている。
さらに「楽匠Fit」では、CO2の排出量が少ない電炉材の採用も進めている。電炉材は、スクラップ材を再利用して製造されるため、従来の鋼材と比較して、CО2排出量が4分の1~5分の1程度に抑えられるメリットがある。塩原氏は、「品質の安定化や加工精度を確保した上で、『楽匠Fit』ではベッド全体の10%程度に電炉材を使用しています」と説明する。
再生樹脂材や電炉材を活用した環境配慮型のベッドを市場に投入できるまでになったことで、これまでの使用済みベッドの再生利用と廃棄物の適正な処理に関する活動を、より強力に推し進めていく方針を打ち出したのが、今回の「RE-BED project」である。
さらに「楽匠Fit」では、CO2の排出量が少ない電炉材の採用も進めている。電炉材は、スクラップ材を再利用して製造されるため、従来の鋼材と比較して、CО2排出量が4分の1~5分の1程度に抑えられるメリットがある。塩原氏は、「品質の安定化や加工精度を確保した上で、『楽匠Fit』ではベッド全体の10%程度に電炉材を使用しています」と説明する。
再生樹脂材や電炉材を活用した環境配慮型のベッドを市場に投入できるまでになったことで、これまでの使用済みベッドの再生利用と廃棄物の適正な処理に関する活動を、より強力に推し進めていく方針を打ち出したのが、今回の「RE-BED project」である。
「RE-BED project」が目指すもの
「パリ協定以降、脱炭素化やESG経営への関心が高まり、我が社と使用済みベッド回収の委託契約を結ぶ医療機関や高齢者施設、福祉用具事業所は、全国で2700事業所にまで拡がっています」と塩原氏。
同社では、今後も環境に配慮した製品やサービスを積極的に採用している医療機関や介護施設、福祉用具事業者への納入拡大を目指し、製品の納品と回収を一体化した効率的な運用体制を強化していく考え。また、樹脂ボードにおける再生樹脂材の含有率をさらに高めていくとともに、樹脂ボード以外の部品への技術転用も進めていくとしている。
パラマウントベッドグループでは、ブランドメッセージである「WELL-BEING for all beings」のもと、「RE-BEDproject」をサステナビリティ推進の中核的な取組として位置づけ、循環型経済の実現を目指した経営戦略を推し進めていく。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)
同社では、今後も環境に配慮した製品やサービスを積極的に採用している医療機関や介護施設、福祉用具事業者への納入拡大を目指し、製品の納品と回収を一体化した効率的な運用体制を強化していく考え。また、樹脂ボードにおける再生樹脂材の含有率をさらに高めていくとともに、樹脂ボード以外の部品への技術転用も進めていくとしている。
パラマウントベッドグループでは、ブランドメッセージである「WELL-BEING for all beings」のもと、「RE-BEDproject」をサステナビリティ推進の中核的な取組として位置づけ、循環型経済の実現を目指した経営戦略を推し進めていく。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)