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トップに聞く アタム技研社長 玉田一實氏

トップに聞く アタム技研社長 玉田一實氏

 福祉用具の洗浄・消毒・乾燥機器の開発・販売を手がけるアタム技研。業界初の車いす全自動洗浄機を開発したのを始め、マットレスやベッドフレームなど、様々な福祉用具に対応する洗浄・乾燥機器の開発に取り組み、昨年、設立20周年を迎えた。同社の玉田一實社長に、同社のこれまでのあゆみを聞いた。

「業界初の車いす自動洗浄機から商品群拡大」

 福祉用具の洗浄・消毒・乾燥機器の開発・販売を手がけるアタム技研(名古屋市)。業界初の車いす全自動洗浄機を開発したのを始め、マットレスやベッドフレームなど、様々な福祉用具に対応する洗浄・乾燥機器の開発に取り組み、昨年、設立20周年を迎えた。同社の玉田一實社長に、同社のこれまでのあゆみを聞いた。

 私は元々、コンロや給湯器などガス関連製品を製造する会社で、長年にわたり開発に携わってきた。1990年(平成2年)2月2日、それまで培った様々なノウハウなどを活かし、コンサルティング業務を行うため当社を立ち上げた。コンサルでは、海外大手電機メーカーへの技術指導を行い、その後そのメーカーが目覚ましい躍進を遂げた例もあった。

 しかし、起業から間もなくバブルが崩壊。会社を取り巻く状況は一変し、コンサルだけでは立ちゆかなくなった。そのような中、顧客の要望で業務用ガス給湯器やガス機器の電子制御装置の開発、OEM供給などを請け負うようになり、さらには自社製品の開発・製造へと事業を拡げていった。この頃開発し、現在も当社の代表的製品の一つであり、業界トップのシェアを誇る業務用食器洗浄機向け給湯器は、当社のガス燃焼技術と電子制御技術を活かし、省エネ・省スペース化を実現したものだ。

 その後96年には、大学病院の依頼で外科手術用器具の洗浄消毒機を開発。拡販を目指し、この洗浄機を福祉系の展示会に出展した際、来場者の方から「医療器具が洗えるのなら、車いすも容易に洗浄できるのでは」という声を聞いた。

 それをきっかけに99年、車いす自動洗浄機の開発に着手。この開発の過程で、車いすの洗浄は、食べこぼしなどの汚れがこびり付いた車いすを手作業で洗い、新品同様に磨き上げなければならず、その手間と時間は大変なものだと知った。そこで、どんなタイプの車いすでも確実に洗浄できるよう、ノズルで高圧の温水を当てながら洗浄し、すすぎ、湿熱消毒、乾燥の工程を全自動で行える「リフレッシャー」を開発、04年に自社製品としての発売にこぎつけた。

 その後、それまでの主力商品だった業務用ガス給湯器は、外食産業の落ち込みにより売り上げも伸び悩んできていた。一方で、介護・福祉分野は成長の余地があり、商品群を揃えていく必要があると考え、車いす車輪洗浄機「ピッカラー」やリフレッシャーの改良版「リフレッシャーPro」を開発したほか、昨年には「マットレス洗浄・消毒・乾燥機」とマットレスや車いす、ベッドフレームなどを高速乾燥できる「多目的・高速乾燥機」を発売。いずれも従来にない製品と、顧客から好評を頂いている。現在、業務用ガス給湯器と福祉関連機器を合わせた自社ブランド製品の売り上げは、当社全体の75%に達している。

 当社の強みは、機械の設計から組み立てはもちろん、製品を動かすための電子制御基板の製造やソフトウェアの開発なども全て自社で行っていること。これらの技術をフルに活かし、今後も介護・福祉分野の製品開発により力を入れていく。また、さらなるラインナップの拡充を図り、新開発の「アルコール消毒器」、マットレスのカバーなどを洗浄できるドラム型の洗浄・乾燥機なども近日発売する。来春にはベッドフレームなどを確実に洗浄できる「多目的洗浄機」の発売などを計画中で、今後もお客様のご要望に応えたい。

アタム技研 代表取締役社長 玉田 一實 氏

プロフィール
たまだ・かずみ氏 1930年2月25日生まれ。
名古屋工業大学卒業後、豊和産業入社。67年リンナイ入社、
84年同社専務取締役開発部長、RBコントロール社長を兼務.。
89年同社を退職。90年2月アタム技研設立。
科学技術庁長官賞受賞、藍綬褒章受章。
(シルバー産業新聞 2011年12月10日号)

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