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「口から食べる力」養う短期入所

特別養護老人ホーム浦舟ホーム(横浜市・定員82床、うちショートステイ8床。平均要介護度4.6)は、在宅要介護者の嚥下機能の維持・向上を目的とした短期集中ケアプログラム「嚥下ショート」を展開している。
利用方法は通常のショートステイと同じ。重度の利用者が多く、月1回・1週間といった定期利用が大半を占める。「胃ろうだが、口から食べる楽しみを少しでも取り戻したい人、現状は経口摂取だが誤嚥リスクが高い人などが多い」と管理栄養士の有馬美代氏は説明する。
嚥下ショートの特徴の一つは、利用前に多職種が自宅を訪問し嚥下評価を行う点。生活相談員、管理栄養士、看護師などが実際の食事を観察する。チームリーダー(ケアマネジャー・介護福祉士・社会福祉士)の太田純平氏は「ショートの目標・計画を定める上で不可欠。自宅に戻った後も実施できる生活プランを見極めなくてはならない」と述べる。
嚥下ショートの特徴の一つは、利用前に多職種が自宅を訪問し嚥下評価を行う点。生活相談員、管理栄養士、看護師などが実際の食事を観察する。チームリーダー(ケアマネジャー・介護福祉士・社会福祉士)の太田純平氏は「ショートの目標・計画を定める上で不可欠。自宅に戻った後も実施できる生活プランを見極めなくてはならない」と述べる。
全身状態からアプローチ
ショート初日に行うのが、連携先の歯科医師による嚥下内視鏡等の専門的な検査。具体的なプログラム立案へつなげる。
ケア実施の主体は介護職員と管理栄養士。看護師は適宜、リスク管理を行う。同施設が掲げるのが「おいしく安全に食べるケア5つのステップ」。まず土台作りとして①体の自然な動き②排泄ケア③ポジショニング(寝姿勢・食事姿勢)――を整える。
ケア実施の主体は介護職員と管理栄養士。看護師は適宜、リスク管理を行う。同施設が掲げるのが「おいしく安全に食べるケア5つのステップ」。まず土台作りとして①体の自然な動き②排泄ケア③ポジショニング(寝姿勢・食事姿勢)――を整える。

①はノーリフティングケアの実践。自宅でずっとベッド上の生活だった利用者を、福祉用具で離床できるよう支援する。「抱え上げは本人の身体に緊張を与え、その時点で良い介護とは言えない」と太田氏。特養入所者にも実践している、同施設の標準的なケアだという。
また③のポジショニングもクッション等を活用。足底や骨盤、肘、頭部の位置を調整し最適な食事姿勢をとる。「特にポジショニングは自宅では環境が整えづらいケアの一つ。嚥下ショート利用後は福祉用具導入の相談を行うケースもよくある」(太田氏)。また、同施設はリハビリ職を配置していないぶん、①〜③の動きは生活リハビリとしての意味ももつ。
これらの土台づくりを行った上で④口腔のケア⑤食事介助――で食べる力をつける。「口腔のケアもリハビリ的な役割。本来は自宅でもケアプランに位置付けるなど、もっと実践されるべき。食べる力がかなり変わってくる」と太田氏は述べる。
食事介助の際は「30㎝・45度」で食べ物を認識してもらい、自分で食べている感覚を取り戻すようサポートする。「直接見て関わらないと、気づかない変化もある」と有馬氏。毎昼食時、全ユニットでミールラウンドを行う。
自宅では全く口から食べられなかった要介護5の利用者は、嚥下ショートを毎月利用し、今では茶碗蒸しを食べられるようにまで改善。嚥下ショート利用時には、自宅で食べている水ようかんを持ち込むそうだ。
「利用後は嚥下ショートを自宅で再現することが目標。ただし、自宅は常に専門職がいるわけではない。生活情報をどうフィードバックしてもらうかが今後の課題」と太田氏は述べた。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)
また③のポジショニングもクッション等を活用。足底や骨盤、肘、頭部の位置を調整し最適な食事姿勢をとる。「特にポジショニングは自宅では環境が整えづらいケアの一つ。嚥下ショート利用後は福祉用具導入の相談を行うケースもよくある」(太田氏)。また、同施設はリハビリ職を配置していないぶん、①〜③の動きは生活リハビリとしての意味ももつ。
これらの土台づくりを行った上で④口腔のケア⑤食事介助――で食べる力をつける。「口腔のケアもリハビリ的な役割。本来は自宅でもケアプランに位置付けるなど、もっと実践されるべき。食べる力がかなり変わってくる」と太田氏は述べる。
食事介助の際は「30㎝・45度」で食べ物を認識してもらい、自分で食べている感覚を取り戻すようサポートする。「直接見て関わらないと、気づかない変化もある」と有馬氏。毎昼食時、全ユニットでミールラウンドを行う。
自宅では全く口から食べられなかった要介護5の利用者は、嚥下ショートを毎月利用し、今では茶碗蒸しを食べられるようにまで改善。嚥下ショート利用時には、自宅で食べている水ようかんを持ち込むそうだ。
「利用後は嚥下ショートを自宅で再現することが目標。ただし、自宅は常に専門職がいるわけではない。生活情報をどうフィードバックしてもらうかが今後の課題」と太田氏は述べた。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)