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市町村おむつ支給継続に苦慮 「任意事業」外れ別途財源確保へ

市町村おむつ支給継続に苦慮 「任意事業」外れ別途財源確保へ

 市町村のおむつ支給事業の継続が国の制度改正により厳しくなっている。来年度以降も事業継続するためには、市町村は独自財源を確保するなどして制度を見直す必要がある。在宅の排泄ケアは在宅介護の大きな負担であるばかりでなく、コロナ禍の現在、人の手による介護は感染リスクが大きく、おむつなどの排泄ケア用品は感染防止の不可欠なファクターとなっている。おむつ支給継続へ苦慮する市町村、現状をレポートする。

来年3月 経過期間終了

 2015年2月、国は市町村の地域支援事業の任意事業として提供されてきたおむつなどの介護用品の支給を、任意事業の対象から外すことを決めた。14年度時点でおむつ支給を実施していた市町村に限り、15年以降も当分の間、任意事業での実施が認められてきたが、21年3月にはこの経過期間が終了する。

 介護保険以前から、おむつ支給の事業は、低所得者(市町村民税非課税世帯)向けの市町村の家族介護支援策として位置づけられ、介護保険後も、要介護4、5相当の在宅高齢者を介護する家族に対して、介護用品(紙おむつ、尿取りパッド、使い捨て手袋、清拭剤、ドライシャンプーなど)を支給する事業となった。これが、06年4月の地域支援事業創設時に、おむつ支給事業は任意事業とされた経緯がある(市町村によって給付条件や内容は異なる)。
 
 現状の任意事業の財源は、保険料と税で構成されるが、1号被保険者(65歳以上)の負担を23%に留めたまま、残りは税負担(国38.5%、都道府県19.25%、市町村19.25%)となる。2号被保険者(40~64歳)の負担はない。
 
 おむつは、施設サービスでは自己負担なく利用できるのに対して、在宅では介護保険の給付対象になっていないために、多数の在宅の特養待機者・家族にとっておむつの支給制度は在宅介護を守り、介護離職防止に役割を果たしてきた。

9月 国から具体的な対応発表

 国は、18年3月6日の全国介護保険担当課長会議において、15年2月におむつ支給を任意事業の対象外とし、多くの市町村で実施されていることから、当分の間任意事業として継続を認めてきたこと、今後は「市町村特別給付」や「保健福祉事業」または市町村独自事業として実施すること――などを示して、市町村に対して対応を求めた。
 
 現在、各市町村では第8期介護保険事業計画を策定しており、おむつ支給事業の改変によって、利用者への対応や、保険料の反映や条例制定など慎重な検討を続けている(表)。 こうした状況の中で7月31日に、国は「具体的な内容については、来年度概算要求に併せて検討する」として、9月にも財政部局との検討を踏まえて、具体的方針を示すという。
 
 特養入所待機者も多く、おむつ支給事業は在宅での介護を支える方策の一つになっている。3大介護とよばれる食事、排泄、入浴のひとつとして、コロナ禍で排泄ケアを支える福祉用具であるおむつの支給のあり方が問われている。
 
 おむつ支給事業が任意事業の対象外となる今回の問題は、国と県の負担分を、1号被保険者の保険料、あるいは市町村の独自財源に肩代わりさせる問題といえる。

地域支援事業における介護用品支給の検討状況 19年度厚労省調査

 厚労省が19年時点でおむつ支給事業を実施する市町村に今後の対応について検討状況を調査した。制度自体に関しては、市町村一般財源の事業に移行58%、他事業への移行37%(その市町村の1号被保険者の保険料で賄う仕組み)、事業廃止17%という結果になった。支給要件の検討に関しては、支給上限額や介護度、所得など支給要件の見直しを行う市町村は72%、新規受付の中止は4%、その他(支給用品の見直しや対象者から介護付き有料老人ホーム居住者等の除外など)14%、また廃止した場合の影響調査を行う市町村は11%になっている。

(シルバー産業新聞2020年9月10日号)

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