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2015年改定 介護報酬大幅減(1) 居宅サービス

2015年改定 介護報酬大幅減(1) 居宅サービス

 厚生労働省は2月6日、社会保障審議会介護給付費分科会(座長・田中滋=慶應義塾大学名誉教授)を開き、15年度からの新しい介護報酬を公表した。全体の改定率は、介護職員の処遇改善分プラス1.65%、認知症・中重度への対応分プラス0.56%を含めた上でマイナス2.27%となり、実質的には全体でマイナス4.48%もの大幅な報酬引き下げが行われている。

 中でもデイサービス、特定施設、特養はマイナス6%と、過去にないマイナス幅となっており、小規模デイ(▲9%)、予防デイ(▲20%~▲22%)に至っては、事業継続に影響を与えるほどのマイナス幅が示されている。介護事業者にとっては、事業の見直しが迫られる改定内容だ。

 今回の改定は①中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化②介護人材確保対策の推進③サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築――の大きく3つの視点から報酬や基準の見直しが行われている。具体的な介護報酬の見直しのポイントを見ていく。

※以下、カッコ内は現状の単価と増減割合

居宅介護支援

 居宅介護支援では、認知症加算(150単位)と独居高齢者加算(150単位)を本体報酬に包括化。これにより基本報酬は、要介護1、2は1,042単位(1,005単位、+3.6%)、要介護3~5は1,353単位(1,306単位、+3.5%)に引き上げとなった。

 介護予防支援費についても、新総合事業の導入により、今後多様なサービスが介護予防サービス計画に位置付けられることを踏まえ、基本報酬が430単位(414単位、+3.8%)に引き上げられる。

 特定事業所加算は3種類に細分化され、全てに人材育成の体制整備の算定要件が追加され、人員配置も強化される。(Ⅰ)は単位数(500単位)は据え置きで、主任ケアマネの配置を1名以上から2名以上に見直し。(Ⅱ)はケアマネジャーの配置を3名以上(現行2名以上)に変更、単位数は400単位(300単位)に引き上げ。(Ⅲ)は現行の(Ⅱ)の要件、単位数(300単位)を引き継ぐ。なお、(Ⅰ)の算定要件にある中重度者の占める割合は、実態に即して50%以上から40%以上に引き下げとなった。

訪問介護

 訪問介護は、基本報酬が身体介護、生活援助ともに4%引き下げられた。身体介護では「20分未満」が165単位(171単位、▲3.6%)、「20分以上30分未満」が245単位(255単位、▲4.0%)、「30分以上1時間未満」が388単位(404単位、▲4.0%)の下げ幅だったのに対し、生活援助は「20分以上45分未満」が183単位(191単位、▲4.2%)、「45分以上」が225単位(236単位、▲4.7%)と、生活援助の引き下げ幅が大きくなっている。

 また、介護予防訪問介護も(Ⅰ)が1,168単位/月(1,226単位、▲4.8%)、(Ⅱ)が2,335単位(2,452単位、▲4.8%)など、それぞれ4%強の引き下げが行われている。

訪問看護

 地域包括ケアの要となる訪問看護については、訪問看護ステーションからサービス提供する場合の基本報酬が、「20分未満」は310単位(318単位、▲2.6%)、「30分以上1時間未満」は814単位(834単位、▲2.4%)など、2%以上の引き下げとなった。一方で病院・診療所からサービス提供する場合は、「20分未満」が262単位(256単位、+2.3%)、「30分以上1時間未満」が567単位(553単位、+2.5%)など、2%以上引き上げとなり、病院・診療所からの訪問看護提供を誘引していく。

 訪看ステーションからのリハビリテーションについても、訪問リハとの整合性をとる形で302単位(318単位)に引き下げとなっている。

訪問リハビリテーション

 訪問リハは、基本報酬に含まれているリハビリテーションマネジメントを別建てで評価する。それに伴い、基本報酬は302単位(307単位、▲1.7%)に引き下げられる。一方、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)60単位/月、(Ⅱ)150単位/月を新たに設け、リハビリテーション計画書の充実や、ケアマネを交えた「リハビリテーション会議」の実施、セラピストによる指導や助言などを一体的に評価していく。

通所介護

 今回の報酬改定で最も影響を受けるのが通所介護だ。基本報酬は「7時間以上9時間未満」の要介護3でみた場合、小規模型が1,006単位(1,108単位、▲9.3%、)と9%の引き下げ、通常型は898単位(944単位、▲4.9%)、大規模型(Ⅰ)は883単位(928単位、▲4.9%)と5%弱の引き下げとなっている。

 さらに衝撃的なのが、予防デイの基本報酬単価だ。「長時間の利用は想定されない」として、要支援1は1,647単位(2,115単位、▲22.2%)、要支援2で3,377単位(4,236単位、▲20.3%)と、2割を超える単価の引き下げとなっており、事業の見直しを迫る内容だ。

 こうした厳しい見直しの中で、事業の命運を握るのが新設された加算の取得であろう。認知症高齢者の積極的な受入れを評価する認知症加算は60単位/日、中重度者の受入れを評価する中重度者ケア体制加算は45単位/日。個別機能訓練加算は、(Ⅰ)が46単位/日(42単位)、Ⅱが56単位/日(50単位)に設定されている。

通所リハビリテーション

 通所リハは、個別リハビリテーション実施加算(80単位/日)の基本報酬への包括化が行われ、「6時間以上8時間未満」の要介護3の場合、1,022単位(979単位、+4.3%)に引き上げられる。

 一方、予防通所リハは予防デイと同様に、基本報酬が大幅に引き下げ。要支援1は1,821単位(2,433単位、▲25.6%)、要支援2は3,715単位(4,870単位、▲23.8%)となっている。

短期入所生活介護

 短期入所生活介護の基本報酬は要介護3の場合、755単位(791単位、▲4.6%)と4%の引き下げとなった。

 ADLやIADLの維持・向上を目的とした機能訓練を実施している事業所については、個別機能訓練加算として56単位/日が算定できる。

 また、緊急時の円滑な受入れが促進されるよう、緊急短期入所体制確保加算(40単位/日)は廃止となり、緊急短期入所受入加算は90単位/日(60単位)に引き上げとなる。

 ケアマネが緊急やむを得ないと認めた場合は、静養室での受入れも可能になる。

 一方、30日を超える長期の利用者については、基本報酬から▲30単位/日が減算となっている。

特定施設入居者生活介護

 特定施設の基本報酬は、要介護3の場合、666単位(705単位、▲5.6%)と6%弱の引き下げ。さらに要支援2については、人員配置を3対1から10対1に見直すことを受けて、308単位(456単位、▲32.5%)に3割以上もの引き下げ幅となっている。

 一方、4月からは特定施設にもサービス提供体制加算が算定できるようになる。また、認知症高齢者の積極的な受入れを促進するために、認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位/日、(Ⅱ)4単位/日を新たに創設。看取り加算の拡充144単位/日(80単位)なども行われ、これらの加算の取得が経営的に重要となる。

福祉用具貸与

 複数の福祉用具を貸与する場合、事業者があらかじめ都道府県などに減額の規定を届け出ることで、通常の貸与価格から減額して貸与することが可能になる。

(シルバー産業新聞2015年2月10日号)

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