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「地域医療構想策定ガイドライン」まとまる

「地域医療構想策定ガイドライン」まとまる

 厚生労働省医政局の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」はガイドライン報告書をまとめ、3月31日に公表した。同検討会は昨年9月に告示された「医療介護総合確保方針」によって設置されたもの。ガイドラインは、今後、都道府県が策定する地域医療構想の将来の病床必要数の推計に活用される。18年度の医療介護同時改定を控え「入院医療ではなく在宅医療等で対応するとした者の介護分野等での対応方針を早期に示されたい」とするなど、介護分野との連携の重要性も指摘している。

来年度までに地域医療構想策定へ

 疾患に応じた良質で適切な医療が効率的に行われることを目指し、一般病床には機能分化を求め、急性期医療へ人的資源の集中するため、病床の機能分化・強化をすることが求められている。そのため、医療機関が自ら担う機能を選択し「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の別などを都道府県に報告をする病床機能報告制度が、昨年10月から始まっている。

 報告された現状の病床機能数と、今回のガイドラインにより、都道府県に設置される「地域医療構想調整会議」で医療需要を策定する議論が本格化し、15年度~16年度中に順次、地域医療構想が策定される見通し。

 構想の策定区域は2次医療圏を基本とするが、高度急性期は医療密度が高い医療を提供することが求められるため、必ずしも区域内で完結することを求めない。一方で、急性期、回復期、慢性期は区域内で対応することが望ましいとした。具体的には、脳卒中や虚血性心疾患などの救急医療は区域外の流出入を認めるが、肺炎や大腿骨頸部骨折など回復期につなげることの多い疾患は区域内で対応することになる。

「医療資源投入量」で病床機能区分

 診療行為を診療報酬の出来高点数で換算した「医療資源投入量(入院基本料相当とリハビリテーション料の一部を除く)」で病床機能を区分することとした点も特徴。DPCデータ分析により、入院日数の経過につれて医療資源投入量が逓減していることから、同投入量が患者の安定した状態であることの指標とした。

 たとえば入院から同投入量が落ち着くまでを「高度急性期」「急性期」が対応する患者数とし、その境界線「C2」は600点として推計するとしている。「高度急性期」と「急性期」の区分「C1」は3000点により推計。「急性期」と「回復期」の区分「C3」は225点と推計した。

「慢性期」の入院受療率の地域差解消へ

 療養病床を担う慢性期については、地域によって入院受療率の差が大きいことから、この解消を目指す。

 具体的には▽レセプトデータによる療養病床の入院患者数のうち、医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応する患者数として見込む▽一般病床の障がい者・難病患者は慢性期の医療需要とする――などにより医療需要を推計する。

 さらに、療養病床の入院受療率の地域格差解消のため、都道府県により①「パターンA」全ての構想区域が、全国最小値まで入院受療率が低下②「パターンB」構想区域ごとに、入院受療率と全国最小値との差を一定割合解消させるが、その割合は全国最大値が全国中央値にまで低下する割合を一律に用いる――の2種類のうち、構想区域ごとにいずれかを定め、原則として25年までに範囲内に収れんさせることをめざす。

 ただし、受療率が最高の高知県と、最低の長野県では約5倍の差があることから、今後、曲折も予想される。

(シルバー産業新聞2015年4月10日号)

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