ニュース 2020/09/11

２１年度報酬改定　関係団体ヒアリング（２）

　社会保障審議会介護給付費分科会（分科会長＝田中滋・埼玉県立大学理事長）の議論が一巡した。次期介護報酬改定に向けて、地域包括ケアシステムの推進や制度の安定性・持続可能性の確保といった横断的テーマに加え、各サービスの現状と課題、新型コロナウイルスへの対応などについて議論し、これまでに幅広い意見や要望が上げられている。８月３日と１９日に行われた関係団体へのヒアリングから、次期報酬改定に「意見あり」とした２８団体の要望や主張のポイントを紹介する。

ＰＴ／ＯＴ／ＳＴ協会「ケアマネジメントへリハ職介入」

　自立支援・重度化防止のさらなる推進へ①居宅介護支援とリハ職が連携した「自立支援型ケアマネジメント」の推進②介護施設での離床促進③生活機能向上連携加算の普及――等の取組に対する評価を要望する。
　①に関して、リハ職は自立支援に向けた工程管理のノウハウが高い。「買い物に行く」等の目標に対し、現有能力を細分化し評価。具体的な練習プログラムへ落とし込む。ケアマネジャーとチームで支援すれば、よりＡＤＬ維持・改善が見込めるケアプランになるだろう。

日本認知症ＧＨ協会「地域支援機能強化と夜勤体制の緩和」

　地域住民の認知症ケアのために、認知症カフェの実施や関連機関との連携など積極的な展開を図るＧＨへの評価を要望。そのために「認知症ケア拠点加算」の創設を求めた。
　夜勤体制の緩和も要望。スプリンクラー設置の完全義務化による安全対策、見守りロボットの普及により夜勤の見回りの効率化が可能なことから、夜勤体制を施設サービスと同様２ユニットに１人とすることを求めた。
　昨年制定された大綱に沿い「共生・予防」の社会を目指す。

全国軽費老人ホーム協議会「地域区分は都道府県単位に」

　６０歳以上の自立生活に不安ある人が利用する軽費老人ホーム。合わせて２２００施設。食事や生活支援がついたケアハウスは利用費が安く年金受給者にも人気。「介護型」は特定施設入居者生活介護の指定を受ける。
　特定施設の要望として、①グループホーム同様に「入院時費用加算」の対象に②フレイル予防のために「栄養スクリーニング加算」単価引上げ③認知症専門ケア加算の要件緩和を掲げた。
　ほかに、地域区分を最低賃金同様に都道府県単位にすることを求めている。

宅老所・ＧＨ全国ネットワーク「処遇改善加算見直しを」

　介護保険以前から地域密着の小規模多機能な介護サービスを、小規模デイなどで展開してきた。コロナによる利用控えが小規模デイの経営を直撃しているとして、基本報酬の引上げを求めている。
　人材確保のためには初任給２０万円が必要だが、小規模事業所では加算の算定が難しく、かつ加算取得の継続が不安定なため、基本給アップの財源にできない。
　介護職員等特定処遇改善加算の「月８万円や年収４４０万円以上」の賃金改善要件は、事業の実態に沿わず、運営がなりたたないと訴えた。

日本ホームヘルパー協会「新型コロナウイルス対策に関する加算の創設」

　訪問介護の人材不足は危機的状況であるとして、他の国家資格保有者や専門職種並みの給与が保証されるだけの報酬単価の設定を要求。
　新型コロナウイルス対策に関し、訪問看護の新型コロナウイルスに関する「特別管理手当」に類する「感染症加算」の創設と、通所介護や訪問看護で認められている電話などでの状態確認による報酬算定を求めた。

全国ホームヘルパー協議会「新型コロナウイルス特例措置の継続を」

　基本報酬の底上げの検討を要求。
　生活機能向上連携加算について、訪問看護事業所のリハビリテーション専門職との連携でも算定できるような運用の検討を求めた。
　新型コロナにより、特定事業所加算等の算定要件のひとつである定期的な会議の開催が対面形式ではなく、文書やテレビ会議等の対面を伴わない代替手段での開催が可能になるなどの特例措置の継続を求めている。

全国介護事業者連盟「ＡＤＬ維持等加算の単価拡充、算定要件の見直し、他サービスへの展開」

　前改定で創設されたＡＤＬ維持等加算について大幅な単価アップを求めるとともに、算定要件の見直しを要望した。
　算定要件については、▽総数２０名以上の見直し（地域密着型通所介護でも算定可能に）▽要介護度３以上の者の割合が１５％以上の見直し▽５時間以上の通所介護費の算定基準の見直し――を強く要望している。
　また、現在は通所介護のみ算定が可能だが、自立支援・重度化防止を推進していく観点から、他のサービスにおいても算定可能な仕組みとなるよう検討を求めた。

（シルバー産業新聞２０２０年９月１０日号）

関係団体ヒアリング（３）