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21年度報酬改定 関係団体ヒアリング(1)
社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の議論が一巡した。次期介護報酬改定に向けて、地域包括ケアシステムの推進や制度の安定性・持続可能性の確保といった横断的テーマに加え、各サービスの現状と課題、新型コロナウイルスへの対応などについて議論し、これまでに幅広い意見や要望が上げられている。8月3日と19日に行われた関係団体へのヒアリングから、次期報酬改定に「意見あり」とした28団体の要望や主張のポイントを紹介する。
全国訪問看護事業協会「看護職の手厚い配置を評価」
重度者を受け入れる体制を適切に評価するため、緊急時訪問看護やターミナルケア等の実績に基づき算定する看護体制強化加算について、「看護職が全体の60%以上」の要件追加を求める。
20年診療報酬改定では機能強化型訪問看護に同要件が追加。同じ機能強化型でも、理学療法士等の職員割合が40%以上の事業所はターミナルの受入れ人数が職員1人あたり0.3人に対し、理学療法士等40%未満の事業所は0.7人と差が出ている。
20年診療報酬改定では機能強化型訪問看護に同要件が追加。同じ機能強化型でも、理学療法士等の職員割合が40%以上の事業所はターミナルの受入れ人数が職員1人あたり0.3人に対し、理学療法士等40%未満の事業所は0.7人と差が出ている。
全国社会福祉法人経営者協議会「処遇改善加算の柔軟な運用求む」
特養の基本報酬を増額し、安定的な経営を支援することが不可欠と主張。同協議会の調査では特養の35%が赤字で、定員充足率がほぼ100%でも3分の1の施設が赤字となっている。
介護職員等特定処遇改善加算は加算・配分対象の見直しと法人裁量の拡大、事務負担の軽減を求める。算定法人の7割以上が看護職員や生活相談員、ケアマネジャーなど「その他職種」の賃金改善へ、法人持ち出しの費用を充てているのが現状。半数の法人が同加算の使いづらさを感じていると指摘する。
介護職員等特定処遇改善加算は加算・配分対象の見直しと法人裁量の拡大、事務負担の軽減を求める。算定法人の7割以上が看護職員や生活相談員、ケアマネジャーなど「その他職種」の賃金改善へ、法人持ち出しの費用を充てているのが現状。半数の法人が同加算の使いづらさを感じていると指摘する。
日本福祉用具供給協会「特定施設入居者生活介護でレンタル可に」
特定施設入居者生活介護の利用者に福祉用具貸与を使えるように求めた。福祉用具レンタルは、住宅型有料老人ホームやサ高住の入居者は利用できるが、特定施設入居者生活介護となる介護付き有料老人ホームの利用者では使えないためだ。
サ高住などが途中から特定施設入居者生活介護の指定を受けると、その時点からレンタルが使えず、適合した使い慣れた福祉用具を返却しなければならなくなる。
医師会や全老健も特定施設のレンタル利用を求めている。
サ高住などが途中から特定施設入居者生活介護の指定を受けると、その時点からレンタルが使えず、適合した使い慣れた福祉用具を返却しなければならなくなる。
医師会や全老健も特定施設のレンタル利用を求めている。
全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会「要介護1、2単価アップを」
「創設時より要介護3~5の報酬は高く、要介護1、2が低い。平均要介護度は2.2。要介護2以下が68%を占める。特に新規は軽度者が多く、終了は中重度が多いため、7割以上の事業所で定員を満たすが、半数の事業所が赤字に陥っている」と主張。
要介護1(月1万364単位)と要介護5(月2万6964単位)とでは、2.6倍の開き。サービス実態を踏まえて、施設サービスの報酬単価同様に、要介護1、2の単価をアップして、報酬の平準化を求めた。
在宅介護の限界点を高める地域拠点をめざす。
要介護1(月1万364単位)と要介護5(月2万6964単位)とでは、2.6倍の開き。サービス実態を踏まえて、施設サービスの報酬単価同様に、要介護1、2の単価をアップして、報酬の平準化を求めた。
在宅介護の限界点を高める地域拠点をめざす。
日本訪問リハビリテーション協会「退院後3カ月間は週12回まで提供可能に」
訪問・通所リハのセラピストの、退院前カンファレンス等への参加を評価する加算の新設を。
訪問リハのリハマネ加算Ⅱ~Ⅳの単位数は、同様の要件にも関わらず、通リハよりもⅠに対する上げ幅が低い。通リハ同様の上げ幅で設定を。
訪問リハは週6回(120分)が限度だが、退院・退所直後の3カ月間は、集中的なリハを提供するため、週12回まで算定可能としてほしい。
リハマネ加算Ⅰ、Ⅱ算定の事業所へも、VISITデータ提供についての加算評価を求める。
訪問リハのリハマネ加算Ⅱ~Ⅳの単位数は、同様の要件にも関わらず、通リハよりもⅠに対する上げ幅が低い。通リハ同様の上げ幅で設定を。
訪問リハは週6回(120分)が限度だが、退院・退所直後の3カ月間は、集中的なリハを提供するため、週12回まで算定可能としてほしい。
リハマネ加算Ⅰ、Ⅱ算定の事業所へも、VISITデータ提供についての加算評価を求める。
全国デイ・ケア協会/日本リハビリテーション医学会/日本リハ病院・施設協会「通所リハは機能区分し報酬設定を」
老健の在宅復帰機能による評価区分のように、通所リハ事業所を、▽専門職の配置状況▽リハマネ加算Ⅱ以上の算定率▽――などの指標をもとに、▽リハビリ強化型▽体制強化型▽従来型――と区分して基本報酬を設定し、提供時間別・規模別区分によらず、質の高いリハを提供する事業所を評価する仕組みとしてほしいと要望。
入院を要する疾病でなく、一時的に身体機能が低下した要介護者に、集中的なリハビリを提供するため、短期集中個別リハ実施加算などの弾力的な運用を求める。
入院を要する疾病でなく、一時的に身体機能が低下した要介護者に、集中的なリハビリを提供するため、短期集中個別リハ実施加算などの弾力的な運用を求める。
日本栄養士会「効果的なリハ実現へ栄養ケア連動を」
介護施設や通所系サービスでのリハビリ・機能訓練計画の作成に管理栄養士が参画した場合の評価を要望。回復期リハビリ病棟で低栄養の患者にリハビリ計画作成を行った際、管理栄養士が関わり個別に栄養管理を行った場合、対象患者の9割が栄養改善に至った。
また、診療報酬で新設された「栄養情報提供加算」と同じしくみとして、介護施設から医療機関への入院、また在宅復帰の際に、栄養状態や摂食・嚥下機能に関する情報連携を加算で評価し、円滑な移行をはかる。
(シルバー産業新聞2020年9月10日号)
また、診療報酬で新設された「栄養情報提供加算」と同じしくみとして、介護施設から医療機関への入院、また在宅復帰の際に、栄養状態や摂食・嚥下機能に関する情報連携を加算で評価し、円滑な移行をはかる。
(シルバー産業新聞2020年9月10日号)