インタビュー・座談会

介護のモチベーション  岩佐まり/松本琢磨/市川洌(4)

介護のモチベーション  岩佐まり/松本琢磨/市川洌(4)

 在宅介護を続ける岩佐まりさん。母親との会話、そして母親の書いたノートからモチベーションを得ている。

「まりちゃんが大好きで大好きで♪」

 松本 岩佐さんにとっての介護のモチベーションがあれば教えてください。

 岩佐 これは母のノートなのですが、もの忘れが多くなって、備忘録としてつづっていたものです。銀行や生命保険など、お金に関するメモが多くて、妻として母として家庭を守るため、忘れないよう必死だったんだと思います。

 市川 (ノートを見ながら)「まり、栃木県でお仕事」

 松本 「まりと買い物した」とか「まりと電話した」とか、岩佐さんについてのメモが一番多いですね。
 岩佐 私のこと、家族のこともたくさんつづられています。つらい時は、このノートのことを思い出します。この頃の母の思いや愛情が、今の私の介護の活力に繋がっているのだと思います。
 母を引き取った後、私が一度インフルエンザにかかってしまって、完治するまで母をデイサービスの緊急ショートステイで預かってもらったことがあります。一週間も離れたら、母は私のことを忘れてしまうのではと不安でしたが、ちゃんと覚えてくれていました。デイサービスからの連絡帳に、「お母さまは毎日、『まりちゃんが大好きで大好きで』と歌って過ごされていましたよ」と書かれているのを見て涙が止まりませんでした。私のことを忘れないように、病気に負けないように頑張ってくれているのだと。これからも母と認知症と向き合って頑張っていきたいです。
 松本 最後に、岩佐さんから、本日の感想と介護に向き合っている皆さんへエールをお願いいたします。

 岩佐 私も含めて、介護は大変ですが、どっぷりはまらず、自分の人生を大切にしなければならないと思います。そのためには、ケアマネジャーなどの専門職や地域とのつながりなどの協力者の存在は欠かせません。そして今回、お話させていただいて、福祉用具も介護に欠かせないものだということがわかりました。ありがとうございました。

 松本 福祉用具は「介護のインフラ」ですね。本日はありがとうございました。

「まり、大阪へ帰ってくる」。大切なことを忘れないようつづったメモ

<後日談>昇降機能付きの介護ベッドがやってきた

 座談会で、今使っている介護ベッドに昇降機能が付いていないことを明かした岩佐さん。二人から「岩佐さんの体のためにも見直したほうがよい」との温かい指摘を受け、古いベッドを返却し、昇降機能付きの介護ベッドと入れ替えたそうです。
 岩佐さんは自身のブログで「毎月500円多く払うことになりますが…お互いの身体を守るためです」とコメント。高さを調整して、起き上がり時の介助負担も減り、立ち上がりもスムーズになったと満足している様子。
 なんと座談会が行われた後日には、市川さんと松本さんが、岩佐さんのご自宅を訪問されたとのこと。岩佐さんはお二人から、スライディングシートの使い方、車いすでのきれいな姿勢のつくり方を教わったそうです。「言葉にはできませんが、母もきっと喜んでいます」と岩佐さんは話してくれました。(了)
新しく借りた昇降機能付き介護ベッド。

新しく借りた昇降機能付き介護ベッド。

「岩佐まりオフィシャルブログ若年性アルツハイマーの母と生きる」(https://ameblo.jp/youko-haha/)より


(福祉用具の日しんぶん2018年10月1日号)

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