コラム

複数商品の提示、貸与価格の上限設定/厚労省 武井佐代里さん

複数商品の提示、貸与価格の上限設定/厚労省 武井佐代里さん

 10月1日は福祉用具の利用環境の啓発・普及を進める「福祉用具の日」。福祉用具を共管する厚生労働省と経済産業省のお二人からメッセージをいただきました。

複数商品の提示、貸与価格に上限を設定

 我が国では、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みである介護保険制度が2000年に創設されて以来、今ではなくてはならないものとして定着しています。しかしながら、制度創設以降も、少子高齢化が進行し、今後も、一人暮らし高齢者や認知症高齢者の増加、都市部における急速な高齢化などが見込まれています。
 こうした中で、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、国民一人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制を整備していくことが重要となります。厚生労働省では、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制として、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供できる「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいます。
 一昨年の介護保険部会や昨年の介護給付費分科会では、介護保険制度の見直しに向けて、「地域包括ケアの推進」「介護保険制度の持続可能性の確保」などの観点から、それぞれ意見書や審議報告が取りまとめられました。これらの内容を踏まえ、福祉用具についても、利用者自らが適切に福祉用具を選択するとともに、適正な貸与価格を確保していけるよう、いくつかの改正を行っています。
 具体的には、今年の4月から、福祉用具貸与事業所に配置される福祉用具専門相談員が、機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示するほか、利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付するなど、他の専門職とも連携しながら利用者を支援することとしています。また、10月からは貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加えて、全国平均貸与価格についても説明した上で、利用者に福祉用具を選択いただくこととしています。
 このほか、厚生労働省においても、貸与価格の全国的な状況を把握し、商品ごとに貸与価格の上限を設定することにより、適正な貸与価格で利用者に福祉用具を提供する仕組みとしています。
 今後とも、福祉用具を必要とする方々が適切に福祉用具を利用しながら、住み慣れた居宅や地域で自立した日常生活を継続していけるよう、厚生労働省としてしっかり取り組んでまいりますので、皆様方におかれましても、引き続き、ご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。
<プロフィール>
 厚生労働省 老健局高齢者支援課長
 1991年建設省(現・国土交通省)入省。これまで、国土交通省と厚生労働省で高齢者の住まい政策を担当。2017年7月より現職

(福祉用具の日しんぶん2018年10月1日号)

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