インタビュー・座談会

エフビー介護サービス 長野を拠点に100超の事業所出店 年商93億

エフビー介護サービス 長野を拠点に100超の事業所出店 年商93億

 長野県を拠点に介護、福祉用具サービスを展開するエフビー介護サービス(佐久市)は県を代表する介護事業者の一つだ。介護保険が創設された2000年4月に佐久市猿久保で第1号事業所を開設。地域に根差したサービスで成長を続け、現在は1200人の従業員とともに、県外を含めて107事業所(22年1月現在)を構える大手事業者となった。今年4月には、東京証券取引所スタンダード市場へ株式上場を果たしたばかり。栁澤秀樹社長に同社のこれまでの歩みと今後の展望について聞いた。

 ――22年間で介護事業を急拡大させた。

 当社の介護事業の立ち上げは介護保険法施行の2000年4月。その3年ほど前から認知症の母の在宅介護が始まり、介護する家族の苦労は身をもって知っていた。そうした中で、介護保険制度が誕生し、民間へも事業参入の道が開かれた。社会のニーズに応える一助になればという思いで参入を決めた。

 今も本社を置く佐久市に居宅介護支援、訪問介護、福祉用具事業所を初出店した。起業前は、フランスベッド販売に16年間勤めていたこともあり、福祉用具事業所のみを開設するつもりでいたが、自治体からそれ以外の在宅介護サービスも提供してもらえないかとの相談が何度か寄せられた。施行当初で、保険者も事業者の確保に奔走していたのだと思う。意図せず、福祉用具以外のサービスも提供することとなったが、結果的に多様なニーズに対応できる今の形へ繋げることができた。

 現在、事業所、施設、商品管理センター合わせて長野県内58事業所・施設、全国では107事業所・施設を運営している。自分自身は、他社と比べて急成長したという実感はないが、ここまで来られたのは「24時間365日、すべては利用者様のために」という当社の経営理念が本人、家族、そして地域から一定の評価をいただいた結果だと受け止めている。

 ――サービスの特徴と今後の展望について。

 当社では、福祉用具と居宅介護支援の福祉用具事業と、有料老人ホームやグループホームなどのその他の在宅サービスを提供する介護事業と、大きく2事業に区分している。前期(2021年3月期)の全社売上高は93億5000万円。おおまかな内訳は福祉用具事業が4割、介護事業が6割となっている。

 福祉用具事業の特徴として担当者の「一貫専任制」が挙げられる。アセスメント、選定、計画策定、納品、モニタリングを同じ担当者が行うことで、状態変化にあわせたこまめな対応ができる。介護事業では積極的にドミナント展開を図っている。周辺に複数の拠点を開設することで、入居者や職員の確保がスムーズになる。例えば、ある施設が満室であっても、空いている近隣自施設への紹介が可能といった具合に、事業所同士での連携がとりやすい。

 個人的には、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護のサービスは介護保険の枠組みの中でも、特に本人や家族の方のニーズに応えたサービスだと考えている。住み慣れた自宅で1日でも長く暮らしたいと多くの方が願う中で、柔軟にサービスを組み合わせることにより、その思いを支えられるからだ。この8月に新しい看多機事業所を松本市に着工予定だが、今後も多機能系サービスには力を入れて取り組んでいく。できる限り在宅生活を支え、どうしても難しくなったときには有料老人ホームやグループホームの居住系サービスなどでしっかりと支える。

 市場の先行きが見通しづらい中、今年4月に株式上場に踏み切ったのは当社への信頼性や透明性、認知度を高めるため。市場からは安定成長への期待も寄せられていて、そうした期待感にはしっかりと応えていきたい。一方で、介護は利用者をはじめ、それを支える職員、地域とさまざまな方々との関係性で成り立つ事業であり、上場してもそれは変わらない。事業を支えていただいている方への気配り、目配り、心配りの「三配り」を忘れることなく、今後も取り組んで参りたい。

〈法人概要〉

 1987年、前身のエフビー信州を設立。インテリア商品等の販売事業などを手掛けた。2000年4月から介護事業を開始し、02年に現在のエフビー介護サービスに商号変更。21年1月時点で職員1200人を抱え、全国で105の介護サービス事業所を展開。グループ法人に、施設などへの食事提供事業を行うルルパ、スマイル薬局などがある。今年4月7日、東京証券取引所スタンダード市場へ株式上場。
(シルバー産業新聞2022年5月10日号)

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