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長野県 地域包括ケア体制の構築状況を見える化
長野県は、平均寿命や健康寿命が男女ともに全国トップレベルであり、高齢者の有業率も全国1位となるなど、わが国屈指の健康長寿県となっている。同県の介護保険について、県庁や注目の保険者、事業者を取材した。
認定率が減少傾向
本県では、高齢者になっても生きがいを持って健やかに暮らすことのできる「人生二毛作社会」の実現を目指し、シニア大学の運営や信州ねんりんピックの開催など、意欲のある高齢者に対して、社会参加や活躍の場の提供を支援してきた。
また、県民の健康増進を図る運動「信州ACE(エース)プロジェクト」の展開と併せて、地域包括ケア体制の構築を目に見える形で進めてきた結果、要介護認定率が2014年の17.5%をピークに、減少傾向に転じている。性別や年齢調整を行った上での要介護認定率は、20年度時点で13.9%と、全国で2番目の低さとなっている。
また、県民の健康増進を図る運動「信州ACE(エース)プロジェクト」の展開と併せて、地域包括ケア体制の構築を目に見える形で進めてきた結果、要介護認定率が2014年の17.5%をピークに、減少傾向に転じている。性別や年齢調整を行った上での要介護認定率は、20年度時点で13.9%と、全国で2番目の低さとなっている。
40年に85歳以上の高齢者が1.5倍に
人口は少子化の影響により、20年の203.5万人から、40年には170.5万人に減少することが予想されている。一方で、65歳以上の高齢者は、65.1万人から68.2万人に、20年間の間で1.05倍に増加する。高齢者の数が急増するわけではないが、85歳以上の高齢者に着目すると、40年には19.3万人に達し、20年の1.5倍になる。また、高齢者の単身世帯の数は、40年には12.8万世帯になり、全体の34.7%に達する。県内には中山間地域が多く、家族介護力が期待できない高齢者をいかに支えていくかが課題となる。
独自指標で地域包括ケアの進捗を把握
こうした状況を踏まえ、40年から逆算する形で第8期介護保険事業支援計画では、▽介護予防・フレイル対策の推進▽地域包括ケア体制の構築▽生活支援の充実▽介護人材の確保▽災害・感染症対策の推進――などを重点分野に据え、取り組みを進めていく。
たとえば、地域包括ケア体制の構築では、第7期から約390項目におよぶ指標を用いて、市町村の地域包括ケア体制の進捗状況を県独自に把握してきた。その結果、第7期(17年度~19年度)の3年間で、県全体の地域包括ケア体制の進捗率は、56.1%から66.0%に増加している(図)。
生活支援コーディネーターが配置され、具体的な取組みが進んだことにより、地域資源の開発が行われ、食材配達や移動販売などを行う圏域が増加したことや、リハビリ専門職による介護予防の取組への積極的な参加が進んだりしている状況が見てとれる。こうした進捗は、第8期計画の中で、圏域ごとにも公表しており、県民に地域包括ケア体制の構築状況を一目で確認してもらえるようにしてある。
さらに第8期からは、指標の見直しも行っていく。これまでは取組状況の有無や、整備状況を中心に指標をつくってきたが、今年度からはアウトカムを中心にした指標に改める。たとえば、「医療と介護の連携」では、中間アウトカムとして▽ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の実施割合▽入院時の情報提供率▽入退院調整の実施率――などを新たな指標とし、最終的に在宅死亡率や老人ホーム等死亡率がどのように変化したかを把握するなど、より質の高い地域包括ケア体制の構築を進めていく。もう一つが、県民や利用者の立場から考えて、自分たちの地域にどのようなサービスがあるのか、そこも〝見える化〟することが大事だ。介護サービスや生活支援サービスなどの情報をまとめ、最終的には県民にお配りできるマップのようなものを作っていきたいと考えている。
たとえば、地域包括ケア体制の構築では、第7期から約390項目におよぶ指標を用いて、市町村の地域包括ケア体制の進捗状況を県独自に把握してきた。その結果、第7期(17年度~19年度)の3年間で、県全体の地域包括ケア体制の進捗率は、56.1%から66.0%に増加している(図)。
生活支援コーディネーターが配置され、具体的な取組みが進んだことにより、地域資源の開発が行われ、食材配達や移動販売などを行う圏域が増加したことや、リハビリ専門職による介護予防の取組への積極的な参加が進んだりしている状況が見てとれる。こうした進捗は、第8期計画の中で、圏域ごとにも公表しており、県民に地域包括ケア体制の構築状況を一目で確認してもらえるようにしてある。
さらに第8期からは、指標の見直しも行っていく。これまでは取組状況の有無や、整備状況を中心に指標をつくってきたが、今年度からはアウトカムを中心にした指標に改める。たとえば、「医療と介護の連携」では、中間アウトカムとして▽ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の実施割合▽入院時の情報提供率▽入退院調整の実施率――などを新たな指標とし、最終的に在宅死亡率や老人ホーム等死亡率がどのように変化したかを把握するなど、より質の高い地域包括ケア体制の構築を進めていく。もう一つが、県民や利用者の立場から考えて、自分たちの地域にどのようなサービスがあるのか、そこも〝見える化〟することが大事だ。介護サービスや生活支援サービスなどの情報をまとめ、最終的には県民にお配りできるマップのようなものを作っていきたいと考えている。
訪問介護20年度廃止9カ所 休止3カ所
25年から40年にかけては課題も多い。特に大きな課題が介護人材確保の問題だ。県内には約3万8000人の介護職員がいるが、特養8カ所、老健1カ所で介護人材不足による入所制限が行われている。また、訪問介護サービスでは、20年度、人材不足を理由に9カ所が廃止、3カ所が休止となっている。25年には約4万1000人の介護人材が必要となるので、今よりも約3000人の上乗せが必要になる。
具体的な取り組みとしては、希望する施設などで働きながら資格を取得して、入職を促進していくマッチング事業を行っており、昨年度は130人の採用実績がある。こうした枠を増やしていくことや、他部署とも連携して、長野県への移住希望者に対して、介護の仕事を紹介してもらう取組を進めるほか、介護助手のような元気高齢者の受け入れなど、介護人材確保の裾野を広げていく。一方で、介護ロボットやICT機器などを導入することにより、介護現場の負担軽減を進め、離職防止につなげていくことや、高知県で取り組まれている「ノーリフティングケア」のような考えを積極的に取り入れて、介護職員の腰痛予防など、職場環境の改善を進めてもらうことなども必要になってくる。
具体的な取り組みとしては、希望する施設などで働きながら資格を取得して、入職を促進していくマッチング事業を行っており、昨年度は130人の採用実績がある。こうした枠を増やしていくことや、他部署とも連携して、長野県への移住希望者に対して、介護の仕事を紹介してもらう取組を進めるほか、介護助手のような元気高齢者の受け入れなど、介護人材確保の裾野を広げていく。一方で、介護ロボットやICT機器などを導入することにより、介護現場の負担軽減を進め、離職防止につなげていくことや、高知県で取り組まれている「ノーリフティングケア」のような考えを積極的に取り入れて、介護職員の腰痛予防など、職場環境の改善を進めてもらうことなども必要になってくる。
自分らしく安心して暮らせる信州
本県では、25年から40年に向けて、「長寿の喜びを実感し、ともに支え合い、自分らしく安心して暮らしていける信州」という基本目標を掲げており、「支える側」「支えられる側」といった、従来の関係を超え、誰もが住みやすい社会環境の確立を目指している。
第8期計画で掲げた計画内容を着実に進め、長野県が目指す地域包括ケア体制をさらに深化させていきたい。
第8期計画で掲げた計画内容を着実に進め、長野県が目指す地域包括ケア体制をさらに深化させていきたい。
(シルバー産業新聞2022年5月10日号)