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800 万人が認知症? 対策は国民的課題 【家族支援 1】

800 万人が認知症? 対策は国民的課題 【家族支援 1】

 高齢者や障がい者の介護。家族には肉体的、精神的、金銭的な負担が生じます。介護休業制度を活用し、周囲の協力を得ましょう。

対策は国民的課題


 予備軍も含め、日本にはすでに800万人以上の認知症高齢者がいる――。2013年に厚生労働省が明らかにした推定値は、その後テレビなどでも「認知症800万人時代」と大きく取り上げられました。
 予備軍とされるMCI(健常と認知症の中間)の400万人全ての人が認知症になるわけではありません。しかし、一人で外へ出てしまって、線路内に立ち入り起きた鉄道死亡事故、そのまま行方不明となるケースなど、認知症の人を守る仕組みの構築がすでに国民的課題となっていることは間違いないでしょう。
 認知症の人の数は2025年には700万人に達するとされ、予備軍も含めるとその数は膨大なものとなります。
 厚生労働省は関係府省庁と共同で策定した「新オレンジプラン」と呼ばれる認知症施策推進の総合戦略に取り組んでいます。認知症への理解を深める普及啓発、適切な医療・介護の提供、家族支援、予防法・治療法の研究開発などが柱です。また独自に認知症の人を見守るための地域づくりや、家族が情報交換や憩いの場づくりに取り組む自治体や団体もあります。

相談できる窓口・体制は?


 内閣府が昨年9月に実施した認知症に関する世論調査によると、今後、増加が予想される認知症の人への取り組みとして、国や自治体が重点を置くべき施策について、「認知症のことを相談できる窓口・体制の充実」を挙げた人の割合が57.9%となっています。
 上手く介護を行うポイントの一つに、「一人で抱え込まない」が挙げられますが、先の調査結果は、認知症になった場合の相談先が、まだまだ十分にないことの表れといえるでしょう。
 公的な相談先としては、各市町村に地域包括支援センターがありますが、認知症に特化した電話相談先としては、▽認知症の人と家族の会の「認知症電話相談」(☎0120-294-456、月~金、10時~15時)▽認知症予防財団の「認知症110番」(☎0120-654-874、月・木、10時~15時)▽認知症介護研究・研修大府センターの「若年性認知症コールセンター」(☎0800-100-2707、月~土、10時~15時)――などがあります。いずれも電話料金はかかりません。
 また、最近では認知症の人や家族と、専門家やボランティアなどの支援者が気軽に交流したり、情報交換をしたりする場として、「認知症カフェ」と呼ばれる取り組みが増えてきています。
 同じような立場の人たちや専門家らと交流することで心強くなりますし、介護の工夫やヒントなども得ることができます。是非、活用してみてください。

飲食店を活用した認知症カフェ

 薬局や介護事業を展開するヴェルペンファルマ(埼玉県飯能市、大野勝三社長)は地域に根ざした飲食店を使った「認知症カフェ」を開催。高齢者の居場所作りや介護関係者との情報交換の場として活用されている。
 同社は、2014年から飯能市の委託事業で認知症カフェを開催している。地域に根ざした飲食店の協力を得て店内で開催しているのが特徴だ。
 今年4月からは市内にあるマクドナルドの店内の一部を借りて認知症カフェを定期開催し、8月からはケアマネジャーと社会福祉士のほかに、管理栄養士と薬剤師を配置している。多職種を配置することで、地域の人が認知症や介護のことだけではなく、日ごろから気になっている健康や薬について、幅広く相談できる環境を整えている。

明るい店内で、笑顔が絶えない

(介護の日しんぶん2016年11月11日)


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