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「日常生活を支える福祉用具」山下一平さん

「日常生活を支える福祉用具」山下一平さん

 「福祉用具の日」が2002年10月1日に創設されてから今年9年目を迎えることになりました。今年も福祉用具関連5団体(※)から成る「福祉用具の日」推進協議会では、社団法人日本福祉用具供給協会を中心に、さまざまな地域でイベントの出展や街頭でのキャンペーンなどを通じ、普段、福祉用具にあまり馴染みのない方々に向けた福祉用具の普及啓発のための活動を展開しております。

「福祉用具の日」推進協議会 会長 山下一平さん

「福祉用具の日」推進協議会 会長 山下一平さん

 例年、9月、10月は「福祉用具の日」推進月間として、福祉用具を身近に感じられるイベントが全国各地で行われています。

 福祉用具というのは、高齢になって障害を持つようになった人々の日常生活や社会参加を支えるために非常に大切なものなのですが、まだまだ社会的認知度が低いのが現状です。使用に際し、ご自分が障害者になってしまったとマイナスイメージを強く感じる方が多く、そのことがスムーズな福祉用具利用の妨げになっているのです。そのため福祉用具が必要になっても、周りの目が気になり、引け目を感じて使うのをためらってしまうのです。また、元気な方にとっては福祉用具を何か障害者という別の世界の人のものと感じている方がまだまだ多いからではないでしょうか。

 皆さんは眼鏡も福祉用具だということをご存じでしょうか?私は視力の低下した人が自然に眼鏡をかけるように、必要に応じ、誰でも使える「日常生活用具」として福祉用具を使うことができるような社会環境になればと常々考えています。福祉用具を利用することで他人に頼むのではなく、したいときにしたいことができ、行きたいところに行くことができる、福祉用具はまさに自立支援の道具なのです。

 このような福祉用具の存在と大切さをなんとか皆さんに知っていただくため、そして、普通の日常生活の道具としてもっともっと身近に感じていただくために、「福祉用具の日」の活動として、全国一斉に様々な活動を展開しているところです。福祉用具の価値を理解している多くの方が10月1日の「福祉用具の日」を意識し、なんらかのアクションを起こせば、その一つ一つが小さなものであっても、同時であれば手拍子のように大きな音となり、日本中の人々にアピールできるのではないかと思っています。

 私は、福祉用具の学習を、小、中学校の授業のカリキュラムに組み込んでいただくことを提案していきたいと思っています。現代社会では、子供と高齢者の触れ合いが極端に少なくなっているので、福祉用具の勉強は、高齢者に目を向けるきっかけにもなると思います。そのような学習の中で高齢者への配慮が芽生え、それはやさしい心、他者への思いやりを醸成することにもつながっていくのではないでしょうか。

 高齢化が進む日本では、2050年には65歳以上の高齢者は総人口の40%を超えるといわれています。私は迫りくる超高齢社会を乗り切るためには、福祉用具の活用が必要不可欠であると考えています。これからも色々な可能性を持った福祉用具が次々と開発されていくでしょう。私たち福祉用具事業者がそうした用具と利用者の間を積極的に繋いでいくことで、その方々がたとえ障害を持っていても、できるだけ負担なく日常生活を送れ明るい気持ちを持って、自分らしい生き方ができる、最後の人生を全うできる日が来ると信じています。

 最後になりましたが10月1日「福祉用具の日」活動の推進をここで改めてお願いすると共に今後の広がりを大いに期待しています。そして、やがて福祉用具が日常生活用具となり、「福祉用具の日」が必要なくなる日がやってくることを願ってやみません。

(※=独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、財団法人テクノエイド協会、社団法人日本作業療法士協会、社団法人日本福祉用具供給協会、日本福祉用具・生活支援用具協会)
「福祉用具の日」推進協議会 会長 山下一平さん

(福祉用具の日しんぶん2011年10月1日号)

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