コラム
これからの福祉用具提案 根拠ある複数提示【車いす】(連載1)
今年4月より、福祉用具貸与の運営基準では、「貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加え、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示すること」が義務付けられました。しかし、単に複数提示することのみが目的になってしまうと、かえって利用者・家族の混乱を招いてしまうおそれがあります。本連載では、福祉用具専門相談員の専門性を生かしつつ、利用者の満足度を向上させる複数提示について解説いたします。今回のテーマは車いすです。
4月から複数提示が義務化
利用者の状態によりあった選定のため、複数製品提示を有効に生かせるケースの一つにアセスメントを経て、「利用者像に不明確な点が残る場合」が考えられます。例えば利用者のマヒの状態により、車いすの駆動方式も異なります。一般的に片手片足駆動なら座面角度は水平のほうが足漕ぎしやすく、両手駆動なら3度程度傾いているほうが漕ぎやすくなります。両方のパターンを提案した後、利用者と一緒にどちらが使いやすいかを検討し、最終的な機種選定へ繋げます。ふくせん版福祉用具サービス計画書の「選定提案」に記載する際は、「足で漕ぎやすいよう座面角度が水平の機種です」「両手で漕ぎやすい座面角度3 度の車いすです」といった書き方になります。
(表)では座位バランスや円背の状態などから、複数提案する場合の例を挙げてみました。アセスメントでポイントを絞った複数提案の中から、利用者・家族の状況により適した機種選定に繋げましょう。
(表)では座位バランスや円背の状態などから、複数提案する場合の例を挙げてみました。アセスメントでポイントを絞った複数提案の中から、利用者・家族の状況により適した機種選定に繋げましょう。