コラム

手すりで動線つくり安全にポータブルトイレへアクセス

手すりで動線つくり安全にポータブルトイレへアクセス

 90歳の吉田京子さん(仮名)は自宅で一人暮らし。日中を過ごすリビングと、介護ベッドを置いた和室の寝室との間には段差があり、それを乗り越えるために突っ張り型手すりをレンタルして使っていた。
 しかしある時、吉田さんは原因不明の体調不良を起こし入院。その後無事退院できたが、ADLが低下していたため、担当ケアマネジャーは福祉用具事業者の営業担当Bさんに、ポータブルトイレとその横に置く手すりを紹介してほしいと依頼した。

 Bさんが状況を確認すると、吉田さんは入院前に比べて歩行が不安定になっていたことから、突っ張り手すりは返却し、生活の中での歩行リハビリの機会創出と本人の尊厳保持を念頭に、パナソニックエイジフリーのPトイレ「ラフィーネキューブ」を導入することを提案。特定販売とレンタルを組み合わせる形だが、ケアマネジャーは本人がこれまで手すりを使っていたことや、同品の手すりの安定感を評価したことから、本人側に提案し導入につながった。
 「最初は、手すりのレンタル料が余分にかかるという心配もされましたが、ご本人の状態が改善して手すりが不要になれば、組み替えたり返却したりできるという、レンタルの利点をご理解いただけました」とBさんは振り返る。
足元側にトイレを置き、専用手すりで動線をサポート

足元側にトイレを置き、専用手すりで動線をサポート

 吉田さんが選んだのは、バケツタイプのラフィーネキューブ。ベッドの足元側に本体を置き、ベッドから移乗する際の動線に沿って、さらにトイレを囲むように専用手すり「スムーディPトイレ用」を設置した。
 これにより吉田さんはトイレを使う際、ベッドから手すりを伝って移動し、身体の向きを変えて便座に腰掛けるまでの動きもスムーズに行うことができるようになった。トイレから立ち上がる際も、肘掛けを掴んでから手すりに持ち替えてベッドへ戻る動きも安定し、一人で安全にポータブルトイレを使えている。

 今は日曜日を除き毎日訪問介護を利用しているが、離れて暮らす吉田さんの娘も排泄介助に付き添うため自宅を訪れる。「娘さんも、トイレ・手すりともに安定感があってよいと評価している。ご本人は立ち上がった後、手すりにもたれかかるように手を掛けられるので、通常の樹脂トイレだったら生じていたであろう転倒リスクも抑えられました」と用具事業者のBさんは評価する。

ラップ式8万円台から 「スムーディ」とつながる「ラフィーネキューブ」

専用手すりをセットした状態。肘掛けは固定式と昇降式が選べる

専用手すりをセットした状態。肘掛けは固定式と昇降式が選べる

 パナソニックエイジフリーの樹脂製ポータブルトイレ「ラフィーネキューブ」は、同社のレンタル手すり「スムーディ」と組み合わせて使える。
 トイレ使用時の立ち座りだけでなく、トイレへの移動や移乗などの動作も連続して支えられるよう、動線に合わせて組み替えられるレンタル手すりと合わせて使える。

 同時発売の専用手すり「スムーディPトイレ用」は、トイレの背面を囲むような形状の手すりや肘掛け、そこからさらに動線を延ばすユニットなどで構成。
 設置する際、トイレ本体は重みのある手すりベースにパーツで固定されるため、単体で置くよりも安定感が高まる。これにより、トイレ周囲の手すりを手がかりに移乗しても、トイレごと転倒するおそれが低く、自力での移乗をしっかりサポートする。

 専用手すりは既存の「スムーディ屋内用」同様に、動線に合わせていくつもの組み合せパターンが選べる。これにより、トイレをベッドから少し離して設置できるので、本人の心理的負担を減らせるほか、車いすへの移乗やシーツ交換などの介助もしやすくなる。また同時に、歩行リハビリの機会確保にもつながる。

ラップ式で介助負担軽減
 ラフィーネキューブには、排泄物を包み込んで処理できる手動ラップ式タイプも、特定福祉用具販売の支給限度額内に収まる8万円台から用意した。
専用の処理袋をセットして凝固剤を入れておき、排泄後に本体レバーを操作すれば熱圧着で排泄物を1回ずつ密封できる。使用後の処理が大幅に簡略化でき、においの問題にも対応できる。

 ラフィーネキューブは、バケツ式が税込4万7300円~、ラップ式は同8万8550円~。いずれも、便座がプラスチック、ソフト、あたたか――の3種、カラーはホワイト、ブラウン、木目――の3色を揃える。
 問合せは同社(℡06-6908-8141)まで。

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