福祉用具ビフォー・アフター (20) 加島守 「自宅のトイレを使いたい」を実現
奥さんと自宅で暮らすDさん(65歳・男性)は両下肢マヒがあり、車いすを利用して生活しています。5年ほど前から両下肢に力が入りにくくなっていました。体格が大きいため、一人で寝返りや起き上がりを行うことは難しいですが、ベッド用手すりにつかまれば端坐位を保持できます。移乗は奥さんが前方から抱え上げで行うこともあれば、Dさんの調子が悪く特に足に力が入らない時はスライディングボードを利用して車いすに乗り移っていました。
両下肢マヒで排泄はPトイレを利用
排泄はこれまでベッド脇に設置したポータブルトイレを使用していましたが、特に排便は自宅のトイレで行いたいという強い希望を持っていました。ただ自宅のトイレを使うとなると、Dさんの立位保持とズボンや下着の着脱の介助が必要で奥さん一人ではどうにもなりません。
自宅のトイレを使いたいという希望を聞いた担当ケアマネジャーは、福祉用具専門相談員、訪問リハの理学療法士と同行訪問し、実現の可能性を検討しました。PTがDさんの身体状況を確認したところ、痛みはないもののマヒで両足に力が入らず、端坐位をとることはできても立ちあがりや立位移乗を無理に行うと膝折れが生じてしまうとのことでした。Dさん自身に立ちあがろうとする意欲はあり、認知症症状などもありません。自宅のトイレは一帖ほどのスペースがあります。
自宅のトイレを使いたいという希望を聞いた担当ケアマネジャーは、福祉用具専門相談員、訪問リハの理学療法士と同行訪問し、実現の可能性を検討しました。PTがDさんの身体状況を確認したところ、痛みはないもののマヒで両足に力が入らず、端坐位をとることはできても立ちあがりや立位移乗を無理に行うと膝折れが生じてしまうとのことでした。Dさん自身に立ちあがろうとする意欲はあり、認知症症状などもありません。自宅のトイレは一帖ほどのスペースがあります。
スタンディングリフトで排泄のニーズに応える
これを踏まえ、はじめに対応案として、①寝室とトイレの2カ所に吊り上げ式のリフトを設置する②床走行式リフトを寝室とトイレで利用する――の2案が挙がりました。
しかし、①のリフトを2カ所に設置すると費用負担が大きくなってしまうこと、②は従来の床走行式リフトでは便器に寄せにくく使いにくそうなことなどが懸念されます。そこでDさんが端坐位の保持が可能なことを考慮し、スタンディングリフトを試してみることにしました。下肢の拘縮もなく、ひざを少し曲がった状態で立ち上がることは問題なくできそうです。
後日、2種類のスタンディングリフトを自宅で試用したところ、スリングシートに体重を預けられ、どちらも痛みや膝折れもなく立ち上がりができました。フローリングの床なので、奥さんがリフトを移動させるのも、それほど大きな負担はなさそうです。試用した2種類のうち、トイレ内でより使いやすいよう、コンパクトな製品を導入することになりました。導入後、Dさんは自宅トイレでの排泄が叶い、とても満足された様子でした。
しかし、①のリフトを2カ所に設置すると費用負担が大きくなってしまうこと、②は従来の床走行式リフトでは便器に寄せにくく使いにくそうなことなどが懸念されます。そこでDさんが端坐位の保持が可能なことを考慮し、スタンディングリフトを試してみることにしました。下肢の拘縮もなく、ひざを少し曲がった状態で立ち上がることは問題なくできそうです。
後日、2種類のスタンディングリフトを自宅で試用したところ、スリングシートに体重を預けられ、どちらも痛みや膝折れもなく立ち上がりができました。フローリングの床なので、奥さんがリフトを移動させるのも、それほど大きな負担はなさそうです。試用した2種類のうち、トイレ内でより使いやすいよう、コンパクトな製品を導入することになりました。導入後、Dさんは自宅トイレでの排泄が叶い、とても満足された様子でした。
☆加島先生の「ここがポイント」☆
今回は移乗を支援する福祉用具の活用で、排泄のニーズを叶えたケースを紹介しました。移乗介助は本人の状況だけでなく、介助者や環境によっても対応法が変化します。移乗に限りませんが、福祉用具を選ぶ際は、介助者が操作をできるかなども含め、丁寧な検討が必要です。
(シルバー産業新聞2018年1月10日号)
今回は移乗を支援する福祉用具の活用で、排泄のニーズを叶えたケースを紹介しました。移乗介助は本人の状況だけでなく、介助者や環境によっても対応法が変化します。移乗に限りませんが、福祉用具を選ぶ際は、介助者が操作をできるかなども含め、丁寧な検討が必要です。
(シルバー産業新聞2018年1月10日号)