コラム

排泄支援で解決! 「頻尿が気になる」 /岩田研二

排泄支援で解決! 「頻尿が気になる」 /岩田研二

 尿失禁や頻尿の不安があると、外出機会が減り、徐々に足腰が弱くなる場合があります。近年は、排尿タイミングを予測する製品なども販売されています。こうした用具により、外出しやすい環境を作る方法を紹介します。

 岩田研二さん

 岩田研二さん

 医療法人松徳会 花の丘病院
 理学療法士。藤田医科大学大学院で片麻痺者のトイレ動作の研究に従事。排せつケアの奥深さに引きこまれ、web サイト「オムツマン」で排せつケア情報を発信している。現在は、ランダルコーポレーションとの業務委託でも排せつケアについて地域で講演をしている。

尿失禁や頻尿が気になって外出できない

 高齢になると、尿失禁や頻尿に悩まされる方が増えます。尿失禁や頻尿の不安から、外出機会が減ることで、徐々に足腰が弱くなり、寝たきりになってしまう負の連鎖があります。ご本人だけでなく、尿失禁や頻尿の方を介護する側も、外出先での排泄トラブルが心配で、外出に対して消極的になってしまいます。
 近年は、女性だけでなく中高齢者以降の男性の尿失禁に対しても注目が集まっています。男性がトイレから帰ってきたらズボンが濡れてしまっているところを目にしたことはありませんか? これは、排尿後に少量の尿が漏れる、排尿後尿滴下(はいにょうご にょうてきか)と呼ばれるもので、前立腺肥大症などの疾患で起こりやすくなります。
 このような背景から、男性の軽失禁パンツや尿とりパッドの種類も増えてきており、メディアの宣伝効果もあり、少しずつ身近なものになりつつあります。
 さらに近年は、テクノロジーの発展により膀胱内の尿量を測定し、排尿タイミングの予測を支援するデバイスなども販売されています(写真1)。
 私が所属するデイサービスで使用した結果、膀胱内にどれだけの尿が溜められるかを見える化でき、デイサービス利用中のトイレ回数が10回から3回に減少した利用者もいて、効率的なトイレ誘導に繋がりました。

(写真1)5段階表示で排尿タイミングを予測する「リリアムスポット」(リリアム大塚)

付けていても気にならないアイテム

 しかし、どれだけ薬やテクノロジーが進化しても、尿失禁や頻尿が改善しない場合もあります。そんなとき、(写真2)のような収尿器は、ズボンの中にトイレがある感覚で、尿失禁や頻尿があっても安心して外出できます。私も1日装着して過ごしてみましたが、想像以上に快適で、外出支援を手助けしてくれるアイテムの一つになると思いました。
 排泄という行為は、人間の尊厳における最後の砦です。できる限り、トイレで排泄することができるよう、これからも支援していきたいです。
(写真2)尿失禁や頻尿の人の外出を 支援する。「Mr.ユリナー」(朝日産業)

(写真2)尿失禁や頻尿の人の外出を 支援する。「Mr.ユリナー」(朝日産業)


(福祉用具の日しんぶん2019年10月1日号)

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