連載《プリズム》
介護保険の「制度の要」
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格は介護保険制度とともに創設され、誕生から四半世紀の歴史を持つ。
ケアマネジメントを担う専門職として、これまで数多のケアプランを作成し、利用者の暮らしを支えてきた。アセスメントやモニタリングを実行し、利用者のニーズや状態を見極め、ケアプランの立案や事業者との調整を図っていく。相談援助業務の中で、これほどまでに想像力を働かせ、利用者の生活に密着する仕事は、他にはあるまい。
“制度の要”とされるケアマネジャーだが、かつては10万人を超えた受験者が、2018年以降、その数を大きく減らしている。今年度の受験者は5万3718人。近年は4~5万人台で推移しており、ケアマネ不足の問題を引き起こしている。その要因の一つに挙げられるのが、18年度からの受験資格の要件見直しだが、除外された「介護等業務」の合格者数が全体のおよそ1割だったことを考えると、他に要因があることは明らかであろう。本紙では、ケアマネアンケートの結果から、「処遇改善加算の対象にケアマネジャーが位置づけられなかった結果、賃金面でケアマネ人気が低下した」と分析している。
12月2日、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が中間整理案をまとめた。この中で、ケアマネジャーの業務が、法定業務と法定外業務とに整理された。多忙を極めるケアマネジャーが、専門性を高めていく上で大きな前進と言えるだろう。一方で、受験者数を大きく減らした要因の処遇改善について、具体策が明記されなかったことは疑問だ。中間整理案では、受験資格の範囲拡大が明記されているが、本質的な問題解決に至らないのは前述した通りである。
11月29日、政府は24年度の補正予算案を閣議決定した。その中で、介護職員の賃上げ策として806億円が計上されたが、新たな補助金は、処遇改善加算を取得している事業所を支給対象としているため、今回も居宅介護支援は蚊帳の外に置かれたままだ。高齢化の問題はこれから本格化する。“制度の要”を冷遇したまま、その先の未来が描けるとは思えない。
“制度の要”とされるケアマネジャーだが、かつては10万人を超えた受験者が、2018年以降、その数を大きく減らしている。今年度の受験者は5万3718人。近年は4~5万人台で推移しており、ケアマネ不足の問題を引き起こしている。その要因の一つに挙げられるのが、18年度からの受験資格の要件見直しだが、除外された「介護等業務」の合格者数が全体のおよそ1割だったことを考えると、他に要因があることは明らかであろう。本紙では、ケアマネアンケートの結果から、「処遇改善加算の対象にケアマネジャーが位置づけられなかった結果、賃金面でケアマネ人気が低下した」と分析している。
12月2日、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が中間整理案をまとめた。この中で、ケアマネジャーの業務が、法定業務と法定外業務とに整理された。多忙を極めるケアマネジャーが、専門性を高めていく上で大きな前進と言えるだろう。一方で、受験者数を大きく減らした要因の処遇改善について、具体策が明記されなかったことは疑問だ。中間整理案では、受験資格の範囲拡大が明記されているが、本質的な問題解決に至らないのは前述した通りである。
11月29日、政府は24年度の補正予算案を閣議決定した。その中で、介護職員の賃上げ策として806億円が計上されたが、新たな補助金は、処遇改善加算を取得している事業所を支給対象としているため、今回も居宅介護支援は蚊帳の外に置かれたままだ。高齢化の問題はこれから本格化する。“制度の要”を冷遇したまま、その先の未来が描けるとは思えない。