連載《プリズム》
平和の祭典
パリ五輪の開会式の一幕。
セーヌ川に浮かぶ船の上で、フランス人ピアニスト、ソフィアン・パマール氏が演奏するピアノが、突然、炎に包まれた。これは戦禍に覆われる世界の現状を表した演出で、NHKのアナウンサーが「不安を抱える人々の思いを炎として表している」と解説した。燃え盛るピアノから奏でられた曲は、故ジョン・レノンの代表曲「イマジン」。歌手ジュリエット・アルマネの歌声が、平和を願う世界中の人々の心と響き合った。
▼オリンピックが「平和の祭典」と呼ばれるようになった由来は、紀元前8世紀に遡る。当時、古代ギリシャでは都市国家間の争いが絶えなかったが、オリンピックの開催期間中は「エケケイリア(聖なる停戦)」と呼ばれる休戦協定が結ばれ、選手や観客の安全が保障された。協定は古代オリンピックが行われた1200年間、破られることがなかったという。
▼この歴史と精神を引き継ぎ、1992年、国際オリンピック委員会(IOC)は五輪期間中の「オリンピック休戦」を提唱。「オリンピック開幕の7日前からパラリンピック閉幕の7日後まで」を休戦期間に定め、大会ごとに国際連合の決議で採択してきた。「平和の祭典」と呼ばれる所以である。しかし、休戦期間中であるはずの今も戦禍は絶えない。
▼歴史に学び、同じ願いを共有し、たゆまぬ努力を続けることでしか平和は実現しない。パリ五輪以降、「イマジン」は開会式で必ず演奏されることが決まった。戦争指導者らに五輪の精神や「イマジン」の歌が届く日は来るだろうか。
▼オリンピックが「平和の祭典」と呼ばれるようになった由来は、紀元前8世紀に遡る。当時、古代ギリシャでは都市国家間の争いが絶えなかったが、オリンピックの開催期間中は「エケケイリア(聖なる停戦)」と呼ばれる休戦協定が結ばれ、選手や観客の安全が保障された。協定は古代オリンピックが行われた1200年間、破られることがなかったという。
▼この歴史と精神を引き継ぎ、1992年、国際オリンピック委員会(IOC)は五輪期間中の「オリンピック休戦」を提唱。「オリンピック開幕の7日前からパラリンピック閉幕の7日後まで」を休戦期間に定め、大会ごとに国際連合の決議で採択してきた。「平和の祭典」と呼ばれる所以である。しかし、休戦期間中であるはずの今も戦禍は絶えない。
▼歴史に学び、同じ願いを共有し、たゆまぬ努力を続けることでしか平和は実現しない。パリ五輪以降、「イマジン」は開会式で必ず演奏されることが決まった。戦争指導者らに五輪の精神や「イマジン」の歌が届く日は来るだろうか。