連載《プリズム》

半世紀ぶりの大阪・関西万博

 4月13日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開幕した。大会テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。10月13日までの半年間にわたって、世界各国の文化や伝統、未来をデザインする最先端技術などが発信される。

 過去の万博をひと言で表すなら、新たな技術や製品を産み育てる〝母胎〞であろう。江戸時代末期の1851年、ロンドンで開かれた初の万博では、巨大なガラス建築「クリスタルパレス」が、当時の人々に衝撃を与え、高層ビル建築の未来を実感させた。1853年のニューヨーク万博では「エレベーター」が、1876年のフィラデルフィア万博では「電話」が展示され、万博をきっかけに、やがて世界へと広がっていった。

 1970年、日本で初めて開かれた万博で、世界中の耳目を集めたのは、日本電信電話公社(現NTT)が「未来の電話」として展示した「ワイヤレステレホン」だ。電話線のない端末を使って、65万人もの来場者が会場内や遠く離れた家族・友人らと通話を楽しんだ。その驚きと感動が「携帯電話」の開発・普及を後押しした。万博はいつの世も私たちに「まだ見ぬ明日」を見せてくれるのである。

 そして今、半世紀ぶりに大阪に万博が帰ってきた。今回の万博が問いかけるのは、技術の進歩ではなく、「いのちの輝き」という本質的なテーマである。未来の暮らしを展示するパビリオン「フューチャーライフヴィレッジ(FLV)」では、内閣府が7月22日〜9月15日にわたって、アバターを使った遠隔地の人とのコミュニケーション体験や、人工知能を搭載したロボットによる介護支援の実演などを行う。

 いのちを輝かせるために、技術の進歩とどう向き合うべきなのか――。介護や医療の現場に携わる皆さんにこそ、未来を確かめてもらいたい。

(シルバー産業新聞2025年5月10日号)

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