連載《プリズム》

断らない相談へ前進

断らない相談へ前進

 高齢者や障がい者、母子、生活困窮者など何らかの社会的支援が欠かせない人たちを社会に包括する地域共生社会の仕組みが、この4月から法律に位置づけられた。介護保険法5条では、国と自治体の役割として、高齢者だけでなく障がい者などの福祉を包括的に推進するために、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に進める。

 同時に、社会福祉法第4条にその実現は地域住民の役割でもあるとした。第106条では、市町村は重層的支援体制整備事業を一体的に実施することで、「8050問題」などの地域生活課題を抱える地域住民やその世帯からの相談に包括的に応じる「断らない相談」に取り組むとした。

 「断らない相談」に舵を切った社会福祉士の新カリキュラムにもとづく4年制教育が今年の4月から始まり、順次、他年限の教育でも適用されていく。地域共生社会の実現を推進し、新たな福祉ニーズに対応を図っていく。すでに前回の18年介護保険改正では、主に障がい高齢者がスムーズに介護保険サービスに移行するための共生型サービスが創設された。障がい者と高齢者の制度の縦割りの壁を少しずつ見直そうとしている取組だ。

 本紙では、昨年1年間、宝塚育成事業所の松下祐介さんの「共生型サービスの視点」を連載した。知的障がい者の通所施設に通う馬場一弘さんが認知症を発症し介護保険サービスを利用する過程を地域でどのように支援したかの報告だった。馬場さんは連載中の昨秋に家族や施設スタッフに見守られながら静かに亡った。今年は元社会事業大学学長で現テクノエイド協会理事長の大橋謙策さんによる連載「地域共生社会に向けた実践―自立生活支援とケアマネジメントの考え方」が始まり、社会福祉の歴史が本人の意思にもとづいた自立生活支援へ発展してきた経緯が解説されている(本紙14面)。
(シルバー産業新聞2020年4月10日号)

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