連載《プリズム》

いまさら聞けない 介護保険料

いまさら聞けない 介護保険料
 超高齢社会を支える介護保険は、国民の税金と保険料、利用者負担によって賄われている。個々人の保険料額は、所得税などと同様に前年の収入によってランク分けされるが、65歳以上(1号被保険者)と40歳~64歳(2号被保険者)ではしくみが異なる。サービス利用量によって保険料が変わるのは同じだが、1号被保険者は住民票のある市町村の介護保険のサービス量が根拠、2号被保険者は日本全体のサービス量が根拠になる。

 利用者負担を除いた費用額の半分を、1号被保険者(23%)と2号被保険者(27%)で分かつ。2000年当初の1号被保険者の負担割合は16%だったのが、高齢者が増えて第8期では23%になった。残りの半分の費用は税金で担い、国25%、都道府県と市町村が各々12.5%の構成になる。後期高齢者の割合の大きい市町村はサービス量が多く保険料が高くなるので、国負担の5%分を調整交付金として設定する。

 利用者負担が増えると保険料は下がる。15年に2割負担、18年に3割負担が導入になった。収入の多い全体の9.5%の人が対象になっており、このうち3割負担は全体の3%にあたる。介護保険費用額の13%程度が利用者負担で賄われることになる。また18年には、2号被保険者の保険料に「総報酬割」が導入されたため、比較的収入の多い健保組合や共済組合の被保険者の介護保険料が段階的に引き上げられた。

 人数割りで決まる介護保険料の今後の試練は、地方の人口減少だ。当面は働き手の減少だが、3.11の被災地などでは高齢者人口が減少している。人が減ってサービス量が変わらなければ、介護保険料が上がっていく。今後の課題として、被保険者を20歳以上に拡げるという検討の背景もここにある。

 世界最速の高齢化を突き進む日本のチャレンジである介護保険は、全国津々浦々、しっかり高齢者を支えている。5年ごとに100万人ずつ増える85歳以上人口、今後20年間で働き手1000万人の減少。日本のチャレンジはさらに続く。

(シルバー産業新聞2021年6月10日)

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