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ビジネスチャットが職員満足度、他法人連携に貢献

ビジネスチャットが職員満足度、他法人連携に貢献

 ひまわり在宅サポートグループ(運営=医療法人社団健育会)では、「LINE WORKS(ラインワークス)」を活用した法人内外での連携に取り組む。同グループは、宮城県石巻市などで訪問看護や訪問介護、居宅介護支援などを展開する。

 「導入の狙いは職員が働く環境の改善」と同グループで在宅部長を務める若林陽盛氏は強調する。「訪問中心に事業を展開しているため、当然だが看護師やヘルパー、ケアマネいずれも日中は一人で訪問に出ていることが多い。事業所に戻ってきても、同僚と入れ違いになったり、相談事や悩みがあってもすぐにコミュニケーションを取ることが難しかった」と振り返る。実際、職員へ働き方に関するアンケートを実施したところ、情報共有に対する職員の満足度は5点満点中2.8点。職員間の情報共有について不安を抱える職員が少なくないことがわかり、「一人ひとりが有機的な繋がりを得られるビジネスチャットツール導入の検討を始めた」(若林氏)
若林陽盛部長

若林陽盛部長

 LINE WORKSは、メッセージアプリ「LINE」のいわばビジネス版。ユーザーが使い慣れたLINE同様のチャット(トーク)機能に加え、カレンダーや掲示板、資料などを保管できるストレージ機能なども搭載。導入企業は20万社を超え、業種を問わず、社内外のコミュニケーションツールとして幅広く活用されている。ひまわり在宅サポートグループでも、他のツールとも比較検討したが、法人外や利用者・家族との情報共有も同時に進めていくにあたり、ユーザーが多いLINEとも連携できる点が「LINE WORKSを選ぶ決め手になった」という。

 同グループは、職種によらず非常勤も含めた180人の職員のアカウントを取得。会社から貸与しているタブレットや私物のスマホにアプリを入れ、事務職員はパソコンでも利用している。70代の職員も活躍する同グループでは、LINEと近しいとはいえ、導入当初は戸惑った職員もいたが、今では全員が問題なく使えているという。使い方以外にも「データ通信料が増える」「監視されるのでは」などと心配する職員に対しては、一緒にデータ量を確認したり、事業所内のWi-Fi環境を整備したりと丁寧に説明や対応を行った。「初めて取り組むことだから一緒にやりましょう、というスタンスを心掛けた」と若林氏は説明する。

 使い方は多岐に渡る。訪問前に利用者の前日までの様子やカンファレンス、スケジュールの確認。訪問後は、関係者のトークルームへ共有すべき内容を投稿する。言葉では伝えにくいケガや褥瘡の様子も、撮影した画像で共有できるので経過が分かりやすい。職員のユニホームを選ぶ際もアンケート機能を活用したほか、「ペット自慢」の掲示板が盛り上がるなど業務以外のコミュニケーションの場としても一役買っている。こうした活用により、導入後に行ったアンケートの点数は2.8点から4.1点と職員の満足度を大きく伸ばした。「困りごとを抱え込まず、報告や相談がしやすい環境になった」と若林氏は評価する。

スムーズな退院調整に寄与し、増益も

 また、グループ外とのやり取りにもLINE WORKSを活用。以前よりも、スムーズな連絡・調整が可能になった。「病院のソーシャルワーカーから退院調整の依頼を受けても、ケアマネが事業所にいないと『伝言ゲーム』になってしまうこともある」と若林氏。「早期退院を求められている病院側は、ケアマネに引き継がなければ退院させられない。以前は回答までに1日近くかかってしまうこともあったが、よりスピーディに調整・回答ができるようになった」。利用者の円滑な在宅復帰はもちろん、速やかな対応は病院や他法人のケアマネからも好評。病院の地域連携室との連携がスムーズになり、看多機事業所では前年に比べて700万円も利益を伸ばした。

 「法人を越えて連携する際、こうしたチャットツールを使っていいのものかと、相手が不安に思うケースもある」。そうした場合、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に沿った運用を行うことなどのほか、円滑な情報共有のメリットも併せて丁寧に説明する。押しつけにならないよう、話し合いを重ねることが重要だという。

 「間接業務を効率化するツールももちろん大切だが、まず職員の間でしっかりとコミュニケーションがとれているか、曖昧な言葉が交わされていないかという視点が欠かせない。誰もが意見を言いやすく、伝わりやすい環境を整えることができれば、より質の高いサービスを利用者へ提供できる」(若林氏)
 ワークスモバイルジャパンでは現在、介護事業者向けのICT活用セミナーを定期的に開催している。導入などに関する問合せは、同社(☎03-4316-2996)まで。

(シルバー産業新聞2021年3月10日号)

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