連載《プリズム》

報酬の逆インセンティブ見直す可能性

報酬の逆インセンティブ見直す可能性

 団塊ジュニアが高齢期を迎える2040年に向けて、介護保険が科学的介護の推進(LIFE)を掲げ、制度の原点である自立支援、尊厳の保持へダッシュを始めた。

 施設から寝たきりをなくす取組「自立支援促進加算」のフィードバック情報には、各施設が寝たきり防止に取り組んできた状況と、利用者個々のサービス状況、それにADL等成果の推移が、全国データと対比して提供される予定だ。全国老人福祉施設協議会の調査(8月)では、LIFEの基本的な加算となる科学的介護推進体制加算の届出は、回答した特養の半数近かった。自立支援促進加算の取得率については12%だった。

 冒頭「自立支援へダッシュ」と記したが、フィードバック情報がシステム構築の遅れによって、利用者情報がない暫定版のエクセルデータに止まっている。期待したフィードバック情報がなく、一所懸命に入力作業をした介護事業所は肩すかしを食った。LIFEは、介護のエビデンス取得が目的だが、自立支援促進加算を始め、トイレでの排泄をめざす「排せつ支援加算」、床ずれの改善の取組を評価する「褥瘡マネジメント加算」などがLIFEに紐づけされている。介護保険20年を経て、見守る介護から元気を少しでも取り戻す介護へ、フェーズを変えた。介護人材が枯渇する中で、福祉用具やICTを駆使しつつ、元気度のアップで、必要な介護量を減らす課題に取り組む。

 要介護3以上が原則利用する特養や、自分でトイレに歩いては行けないという介護医療院では、こうした自立支援への課題にどう向き合うか。「オール・オア・ナッシングの問題ではなく、できるところから始める。同時にレスパイトケアも必要だ」という答えが返ってくる。特養、医療院の平均要介護度が4前後であるのに対して、老健は3.2で、要介護1、2の利用が多い。ただし人件費など適切な介護コストの裏打ちは必須だろう。

 予測されるLIFEの介護報酬との今後の紐付けだが、元気になれば報酬が下がる要介護度別介護報酬の逆インセンティブ性を、補てんする可能性もある。
(シルバー産業新聞2021年11月10日号)

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