連載《プリズム》
阪神・淡路大震災から30年
1995年1月17日午前5時46分。兵庫県淡路島北部を震源とする巨大地震が発生し、神戸の町を中心に未曽有の被害をもたらした。建物は倒壊し、交通網やライフラインは寸断され、6434人もの尊い命が奪われた。あれから30年――。
阪神・淡路大震災は、わが国の防災政策の転換点となり、多くの制度の見直しや支援体制のあり方、備えの重要性を見つめ直す契機となった
▼耐震基準の見直し、防災インフラの強化、災害派遣医療チーム(DMAT)の発足や福祉避難所の創設。阪神・淡路大震災を契機に、日本の防災力や災害対応力は強化された。ボランティアによる助け合いが、被災地で大きな力となることも広く認識され、1995年は「ボランティア元年」として人々の精神や記憶に深く刻まれている。阪神・淡路大震災の教訓が、その後に発生した震災に活かされているのは、周知の事実である。しかし、それだけでは十分でない。
▼たとえば、避難所の問題だ。高齢者や障がい者、認知症などの疾患を抱える人々にとって、避難所は必ずしも“安全な場所”とは言い切れない。トイレや感染症、リロケーションダメージなどの問題は、避難所での生活を余儀なくされる人たちにとって、今も大きな課題のままだ。介護人材不足の問題が、福祉避難所の開設困難に拍車をかけている現実もある。
▼政府は、今国会に「災害対策基本法」などの改正法案を提出する。地方自治体が簡易トイレなどの備蓄状況を公表することや、避難生活を送る高齢者などへの福祉支援の充実などが盛り込まれている。阪神・淡路大震災から30年を節目に、防災力のさらなる強化を期待したい。いつの世も、災害は過去のものではなく、未来への課題なのだから。
▼耐震基準の見直し、防災インフラの強化、災害派遣医療チーム(DMAT)の発足や福祉避難所の創設。阪神・淡路大震災を契機に、日本の防災力や災害対応力は強化された。ボランティアによる助け合いが、被災地で大きな力となることも広く認識され、1995年は「ボランティア元年」として人々の精神や記憶に深く刻まれている。阪神・淡路大震災の教訓が、その後に発生した震災に活かされているのは、周知の事実である。しかし、それだけでは十分でない。
▼たとえば、避難所の問題だ。高齢者や障がい者、認知症などの疾患を抱える人々にとって、避難所は必ずしも“安全な場所”とは言い切れない。トイレや感染症、リロケーションダメージなどの問題は、避難所での生活を余儀なくされる人たちにとって、今も大きな課題のままだ。介護人材不足の問題が、福祉避難所の開設困難に拍車をかけている現実もある。
▼政府は、今国会に「災害対策基本法」などの改正法案を提出する。地方自治体が簡易トイレなどの備蓄状況を公表することや、避難生活を送る高齢者などへの福祉支援の充実などが盛り込まれている。阪神・淡路大震災から30年を節目に、防災力のさらなる強化を期待したい。いつの世も、災害は過去のものではなく、未来への課題なのだから。