連載《プリズム》

ジェットコースターの如く

ジェットコースターの如く

 遊園地のジェットコースターは、タッタッタッと音をたてて最上まで駆け上がり、静かになったかと思うと、一気に落下する。2005年から人口減少に転じた日本は今後、すでに地方がそうであったように、ジェットコースターの勢いで人が減っていく。(プリズム2020年1月)

 人口減少を続けながら、団塊ジュニアが高齢期を迎える2040年頃まで、85歳以上の人口が5年刻みで100万人ずつ増加。85歳以上になると、2人に1人が要介護になる。

 これまでは「制度の持続可能性」といえば、給付抑制や負担増と同義語だったように思う。介護保険の総費用額を65歳以上の高齢者1人あたりにすると、年間21万円程度かかっているが、実際に高齢者1人が負担する平均の介護保険費用は、年間7万円程度に抑えられている。要介護認定率は18%だから、介護保険利用者1人あたりの年間費用額は、さらに5~6倍になる。まさに介護保険は社会連帯のしくみであり、One Teamで超高齢社会を支え、乗り切ろうとしている。同時に、これらの費用は20数万の介護保険事業所のサービスの原資となり、地域経済を下支えている。

 長期の人口減少は、介護人材不足を加速していく。多国籍介護時代に入った日本は、国際的な高齢化の波をかぶりながら、海外よりは高いと思っていた介護職の賃金は昔のことになり、必然的に介護・看護職のコスト上昇を招くだろう。消費税や保険料が上がってでも、必要な介護職の賃金アップのために特定処遇改善加算が新設されたが、外国人介護職の動向を見る限り、まだ不十分なのだろう。

 21年改正論議の前半戦は、施設利用者などの食費や高額介護サービス費に応能負担にもとづく見直しが行われる見通しだ。事業所収益が低下傾向にある現在、介護報酬が決まる後半戦にのぞみ、展望とともに、介護現場からの要望を発信していかなければならない。

(シルバー産業新聞2020年1月10日号)

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