連載《プリズム》

国民会議のゆくえ

国民会議のゆくえ

 社会保障制度改革国民会議は来年8月までに結論を得て、社会保障制度改革のための必要な法制上の処置を講じることになった。しかし、「国民会議は総選挙後に」という自民党の主張にのる形で、政府も他政党もいっこうに国民会議を開催しようとしない。だれも猫の首に鈴はつけたくないからだ。(プリズム2012年10月)

 制度の持続可能性をかかげて「給付の重点化や制度運営の効率化」というショッパイ課題を抱えた国民会議に対して、その期限と同じ来年8月までに必ず行われる総選挙と参院選を前に、多くの国会議員が及び腰になっている。

 国民会議の根拠である社会保障制度改革推進法には、社会保障制度の基本的な考え方と国の役割が書かれている。基本的な考え方は、社会保障制度は家族相互と国民相互の助け合いの仕組みであって、負担の増大を抑え、財源は保険料を基本に国や地方の負担には消費税をあてるというもの。社会保障制度改革の施策は国が総合的に実施する。改革を総合的かつ集中的に議論し推進する場が国民会議であると位置づけている。

 検討の対象に、公的年金、医療保険、介護保険とならんで、少子化対策が入れられた。社会保障制度の基盤を維持するための少子化対策が必要で、子どもと保護者の支援にとどまらず、就労、結婚、出産、育児の各段階に応じた支援を幅広く行い、子育ての喜びを実感できる社会を実現するとされる。まずは、即効性のある待機児童対策だという。ただ、高齢者施策に偏重する日本の社会保障制度をどれだけ見直し、少子化対策にお金をかける道筋をつくれるかは、国民会議メンバーの人選しだいだろう。

 介護保険制度や国の障がい者施策の良さは、地方でのサービスの底上げだ。工場が海外に移転すれば、医療や介護が地方経済を支えるという側面もある。地域主権改革の条例委任では、給付レベルの基本となる人員基準と居室面積を原則「従うべき基準」として、国の判断を地方の判断に優先させた。給付制限は給付の新設に比べて何倍も困難だ。さて国はどう舵取りをするか。

(シルバー産業新聞2012年10月10日号)

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