連載《プリズム》

あいまい化する輪郭

あいまい化する輪郭

 区分支給限度額を超えた介護保険サービスの利用者負担は「保険給付の対象外」。しかし、必ずしも10割負担ではない。支給限度額を超えた分の利用料は、基準費用額との間で「不合理な差額を生じない」ことが原則。厚労省によれば、具体的な価格は事業者と利用者の契約で決めればよいという。(プリズム2012年6月)

 4月25日に国が出した12年介護報酬Q&A。支給限度基準額を超えた場合の介護職員処遇改善加算の算定方法(問12)について、介護報酬総単位数が支給限度額を超えている場合の超過分、およびその超過分の加算は、「保険給付の対象外となる」と答えるに止めた。国は、「不合理な差額を生じない」という観点をとる。これまでの「支給限度額外は10割負担」とする判断は示されなかった。

 では、いくらの利用者負担を求めればよいのか。今春、インターネットの介護サイトで、介護報酬改正への対応に奔走するケアマネジャーらによって、この議論が賑わった。実際、在宅で踏ん張っている介護保険のヘビーユーザーは、支給限度額は変わらないままに、報酬改正によってサービス単価が上がり、加算が創設されるというつらい状況に置かれている。支給限度額の超過部分がすべて10割負担となれば、十分な介護サービスは使えない。住み慣れた在宅や地域での生活をめざす地域包括ケアの推進にも逆行する。

 一方の事業者も、支給限度額を超過した利用者からは10割をもらわなければ大損だ。おそらくはこうした双方の立場に配慮して、国は、超過部分の利用者負担は事業者と利用者の契約で決めればよいと示した。お泊まりデイの宿泊費や自費レンタルの価格設定などと同様に、支給限度額内の部分で事業性が確保されるならば超過部分は安価に供給できるかもしれない。

 ただし、こうした論理は「支給限度額外は保険給付外、つまり介護保険サービスではない」という前提に立ってしまう。24時間サービスの兼務や業務委託の自由さ加減といい、介護職のたんの吸引やヘルパーの生活リハビリといい、これからの介護保険は介護の担い手や事業者の負担を伴う。制度の輪郭はあいまいになっていく。保険者の判断が試されるのか。

(シルバー産業新聞 2012年6月10日号)

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